2003 Fiscal Year Annual Research Report
全胚免疫・分子組織化学的染色による神経系・血管系と内臓の形態形成の三次元的解明
Project/Area Number |
14570008
|
Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 重徳 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60004660)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
易 双勤 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70334753)
下川 隆 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (70302841)
中谷 壽男 金沢大学, 医学部, 教授 (60198124)
|
Keywords | ヒト / 脊椎動物 / 発生 / 末梢神経 / 血管 / 内臓 / 免疫組織化学 / 分子組織化学 |
Research Abstract |
ジャコウネズミ成体の自律神経分布形態に関して、免疫組織化学的に分布神経を染色することによって、膵臓に分布する神経の形態の詳細を明らかにした(Anatomocal Record 273A(1):630-635,2003)。また、当該動物の膵臓におけるLangerhans islet細胞の局所分布を調べ、ヒトの胚における背側と腹側の膵臓原基の形態を成体においても維持していることが判明した(General and Comparative Endocrinology、下記)。更に、ヒト膵臓の神経分布形態との比較的研究を行い、膵癌の神経周囲浸潤の形式などを検討した(Pancreas 27・3:225-229,2003、下記)に発表した。研究を更に発展させ、ジャコウネズミ成体の十二指腸乳頭部における神経分布と、ヒトとの比較研究を行い、十二指腸・総胆管温存膵頭部切除術(DPPHR)の適応性を臨床外科学的観点から検討し、論文投稿した。 ヒトを含む脊椎動物の形態形成学にとって、人体構造の奥底を解明することが大切であるが、これまでの脊椎動物の構造解明は人体解剖程には為されていない。その一方、ヒトの形態に関しては、解剖の難しさから、不明な点もある。例えば、心臓と周囲構造、とりわけ内臓神経と血管との関係について不明な点があり、このことが心臓神経発生研究を妨げている。我々は、ヒトの成体の胸・腹部内臓を周囲の体壁の重要構造をも含めて、0.001%アリザリンレッド含有95%アルコールに約5日間保存し、染色・脱脂肪を行なった後、実体顕微鏡下で精密に解剖することにより、心臓に分布する迷走神経と交感神経の形態の全体を明らかにすることが出来た。とりわけ、交感神経の枝に関しては、心臓静脈門から心臓に到達する新たな枝を見つけ、その形態を前例が無いほどに詳細に明らかにした。現在では、ヒトと他の脊椎動物に心臓神経の名称に混乱があるものの、解決することが出来たので、心臓と血管及び内蔵の形態形成に関する研究を自信をもって進め、論文を作成しつつある。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Yi SQ, Tanaka S, Tanaka A, Shimokawa T, Nakatani T., et al.: "An extremely rare inversion of the preduodenal portal vein and common bile duct associated with multiple malformations"Anatomy and Embryology. (in press). (2004)
-
[Publications] Yi SQ, Akita K, Shimokawa T, Nakatani T, Tanaka S et al.: "Cellular localization of endocrine cells in the adult pancreas of thehouse musk shrew, Suncus murinus"Gene comparative endocrinology. 136・2. 162-170 (2004)
-
[Publications] Shimokawa T, Akita K, Sato T, Ru F, YI SQ, Tanaka S., et al.: "Penetration of muscles by branches of the mandibular ne. rye : A possible cause of neuropathy"Clinical Anatomy. 17・1. 2-5 (2004)
-
[Publications] Yi SQ, Shimokawa T, Akita K, Tanaka S, et al.: "Innervation of the Pancreas from the Perspective of Perineural Invasion of Pancreatic Cancer"Pancreas. 27・3. 225-229 (2003)
-
[Publications] Shimokawa T, Yi SQ, Akita K, Sato T, Tanaka S., et al.: "An anatomical study of the levator veli palatini and superior constrictor with special reference to their nerve supply"Surgical and Radiologic Anatomy. October 28. Epub ahead of print (2003)
-
[Publications] Oh CS, Chung IH, Lee KS, Tanaka S: "Morphological study on the rootlets comprising the root of the intermediate nerve"Anatomical Science International. 78・2. 111-113 (2003)