2003 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔複合体における核と細胞質間の輸送選別機構:形態学からのアプローチ
Project/Area Number |
14570012
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
名黒 知徳 鳥取大学, 医学部, 助教授 (50032230)
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Keywords | 核膜 / 核膜孔複合体 / 微細構造 / 走査電顕 / 核膜孔 / 三次元構造 |
Research Abstract |
平成15年度は高分解能走査型電子顕微鏡により得られた二次元画像を三次元ステレオ画像にして核膜孔複合体の三次元構造の詳細を検討することを目標に研究を遂行した。 1)核膜の8種類全ての面(外核膜真表面の1.細胞質面と2.核周囲腔面、外核膜半膜の3.P面と4.E面、内核膜真表面の5.核質面と6.核周囲腔面、内核膜半膜の7.P面と8.E面)を、固定液の種類と濃度、および凍結割断時の不凍液の濃度を調整することで、偶然ではなく意図的に露出することが可能となった。 2)この研究では単離・抽出した核膜孔複合体画像とは異なり、核膜との詳細な位置関係を知ることが可能である。外核膜真表面の細胞質側で核膜孔をリング状に取り巻く8個の粒子は、球形ではなく、ラクビーボール状(長径32nm、短径26nm)を呈し、オスミウム浸軟処理により比較的容易に溶出すること、溶出した場合には外核膜表面は平坦であるごとから、粒子は外核膜上に接しているだけで、核膜との密接な結合はないことが明らかとなった。 3)核膜孔内部に位置する構造蛋白は膜を貫いて核周囲腔に位置する構造蛋白と連結し、外径直径90nm、内径直径約10〜20nmのリング状構造を形成していること、内径の大きさは核から細胞質に向かうに従って狭くなっており、核膜孔の最も狭いゲートを形成していることが明らかとなった。この構造は内核膜よりも外核膜と強い結合があることが明らかとなった。核周囲腔に位置する構造蛋白と核膜孔内部に位置する構造蛋白は、常に一緒に結合して同じ大きさのリング状構造を示すことから、膜を介する両者の結合は強固であることが明らかとなった。 4)内核膜真表面の核質面は浸軟処理により染色体を除去すると、核膜は膜膜孔(直径45nm)の外周に直径約90nmの土手状の盛り上がりがあることが明らかとなった。
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