2002 Fiscal Year Annual Research Report
個体発生における側板胚葉分化のしくみ-中胚葉を二分する体腔形成のメカニズム
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14570027
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
船山 典子 理化学研究所, 進化再生研究グループ, 研究員 (30276175)
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Keywords | 側板中胚葉 / 上皮化 / RNAi / ニワトリ胚 / 2本鎖RNA / knock down / cadherin6B / Pax6 |
Research Abstract |
ニワトリ胚において、申請者が考案したRNAiを用いたloss of functionの実験系が、endogenous geneにおいても働くかどうかの検討するため、目の形成におけるマスター遺伝子であるPax6に着目し、pax6遺伝子のループ型2本鎖RNAを発現するベクターを、ニワトリ胚のレンズが誘導される予定の外胚葉に導入して、目の形成異常が引き起こされるか調べた。レンズが誘導される予定外胚葉領域へのエレクトロポレーションによる遺伝子導入法に関しては、GFP遺伝子を用いて検討、効率よく遺伝子を目的の領域に導入することが可能となった。そこで3種類のpax6二本鎖RNA発現ベクターを作製し、GFP発現ベクターを共に20体節期、10体節期または1〜2体節期の胚に導入した。多数の細胞に2本鎖RNA発現ベクターが導入されているものの、顕著な異常は認められず、また、遺伝子導入後約24時間のニワトリ胚レンズにおいてのpax6タンパクの発現は低く、タンパクレベルでの発現が低下しているか明らかにすることは出来なかった。これらの結果より、少なくともPax6遺伝子を用いたRNAi実験系において、endogenous geneの発現を抑えることは出来准かったと考えている。最近、RNAiによる効果はその遺伝子の発現を完全に抑えるKnock outではなく、発現を低下させるknock downであると考えられるようになってきた。タンパク質のターンオーバーが長い分子、また、転写調節分子であるpax6の様なRNAの発現量が高い遺伝子に対しては、RNAiの効果を得ることが難しいと考えられる。 現在、側板中胚葉上皮化時に特異的に発現するCadherin6B2本鎖発現ベクターの予定側板中胚葉領域への導入を行い、この実験系の有効性の検討と共に、cadherin6Bの上皮化への関与について解析を勧めている。
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