2003 Fiscal Year Annual Research Report
個体発生における側板胚葉分化のしくみ-中胚葉を二分する体腔形成のメカニズム
Project/Area Number |
14570027
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Research Institution | RIKEN (The Institute of Physical and Chemical Research) |
Principal Investigator |
船山 典子 独立行政法人理化学研究所, 進化再生研究グループ, 研究員 (30276175)
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Keywords | 側板中胚葉 / 壁側中胚葉 / 臓側中胚葉 / 上皮化 / SHH / ニワトリ胚 / cyclopamin |
Research Abstract |
1)ニワトリ胚側板中胚葉の上皮化がいつどの様に始まり進むかについて、2〜9体節期胚の連続切片を作成観察し、2.5体節期においてまだ間充織である側板中胚葉は、3体節期に体の前方より上皮化、splitして行くことを明らかにした。 2)側板中胚葉の上皮化に周囲の組織(外胚葉、内胚葉)との相互作用が必要であるかを明らかにする為、間充織である若い側板中胚葉と外胚葉(又は内胚葉)の間にアルミフォイル(相互作用の遮断)、又は微小な穴の空いたフィルター(分泌性分子による相互作用が可能)を挿入した。外胚葉との相互作用を全く遮断すると、側板中胚葉は上皮化せず間充織のままで、内胚葉に近い部分が臓側中胚葉の遺伝子マーカーを発現した。フィルター挿入では、側板中胚葉は上皮化、splitし、壁側、臓側中胚葉が正常に分化した。内胚葉との相互作用に関しても同様の結果を得、側板中胚葉の上皮化には、外内胚葉との接触を介した相互作用が必要であり、壁側、臓側中胚葉への分化には、外内胚葉からの分泌性分子が作用することを明らかにした。遮断実験で、上皮化しない側板中胚葉の正常に内胚葉(外胚葉)が接している部分は、分化マーカーを発現するので、上皮化、splitは側板中胚葉の初期の分化には必須ではなく、側板中胚葉を空間的に分けて外内胚葉からのシグナルを壁側、臓側中胚葉のみにそれぞれ作用させ、二種類の側板中胚葉の分化をより確実にするシステムであると考えられる。 3)側板中胚葉が上皮化し始める時期から、側板内胚葉においてSHHが発現していることを明らかにし、RNAi法によるknock douwnを試みたが明らかな効果が確認出来なかったため、cyclopaminによりSHHの作用を阻害した。臓側中胚葉マーカーワHFH-8の発現は消失したが、側板中胚葉は上皮化、splitした。即ち、SHHは臓側中胚葉誘導の作用分子であると示唆された。
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