2003 Fiscal Year Annual Research Report
PI(4,5)P_2を介するNa/Ca交換活性制御におけるシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
14570039
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 達 京都大学, 医学研究科, 助手 (00263096)
|
Keywords | Na^+-Ca^<2+>交換 / 不活性化 / β受容体 / 心臓 / クロール電流 |
Research Abstract |
Na^+-Ca^<2+>交換のβ受容体を介する活性制御については、様々な報告があり研究者間で意見の一致が得られていない。例えば、カエル心室筋におけるNa^+-Ca^<2+>交換活性はβ受容体刺激で抑制されると報告されているが、モルモット・ラット・ブタ等の哺乳類心室筋細胞のNa^+-Ca^<2+>交換活性は、β受容体刺激で活性化されるとの報告がある。しかしながら、多くの哺乳類心室筋細胞にはβ受容体刺激で活性化されるクロール電流(cAMP依存性クロール電流)が存在するにもかかわらず、これまでの報告では、cAMP依存性クロール電流の活性化とNa^+-Ca^<2+>交換に対する効果が区別されていなかった。そこで、我々はcAMP依存性クロール電流の活性化に留意しながら、β受容体刺激のモルモット心室筋細胞Na^+-Ca^<2+>交換電流に対する効果を再検討し、以下の知見を得た。 Na^+-Ca^<2+>交換電流を単離する目的で使用されるNi^<2+>は、cAMP依存性クロール電流も抑制した。文献で報告されている実験条件においては、cAMP依存性クロール電流の逆転電位と、Na^+-Ca^<2+>交換電流の逆転電位がほぼ等しく、また、電流電圧曲線の性質もよく似ているので、膜電流記録だけからは両者を区別できなかった。外液クロール濃度を下げて、cAMP依存性クロール電流の逆転電位を約+50mVに設定した場合、+50mVの膜電位におけるNa^+-Ca^<2+>交換電流はβ受容体刺激により増強されなかった。細胞外Ca^<2+>濃度を変化させることでNa^+-Ca^<2+>交換電流を単離した場合、Na^+-Ca^<2+>交換電流はβ受容体刺激により増強されなかった。これらの実験結果から、モルモット心室筋細胞においては、β受容体刺激はNa^+-Ca^<2+>交換電流を増強しないと結論された。これまでの報告の多くは、CAMP依存性クロール電流の影響を過小評価していたと考えられる。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Powell T., Matsuoka S., Sarai N., Noma A.: "Intracellular Ca^<2+> dynamics and sarcomere length in ventricular myocytes"Cell Calcium. in press. (2004)
-
[Publications] Matsuoka S, Sarai N, Kuratomi S, Ono K, Noma A: "Role of individual ionic current systems in ventricular cells hypothesized by a model study"Japanese Journal of Physiology. 53. 105-123 (2003)
-
[Publications] Sarai N, Matsuoka S, Kuratomi S, Ono K, Noma A: "Role of Individual Ionic Current Systems in the SA Node Hypothesized by a Model Study"Japanese Journal of Physiology. 53. 125-134 (2003)
-
[Publications] Kuratomi S, Matsuoka S, Sarai N, Powell T, Noma A: "Involvement of Ca^<2+> buffering and Na^+/Ca^<2+> exchange in the positive staircase of contraction in guinea-pig ventricular myocytes"Pflugers Arch.. 446. 347-355 (2003)