2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570042
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 繁 近畿大学, 理工学部, 教授 (60145224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛利 達磨 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (60290912)
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Keywords | マウス / 上衣細胞 / 濃度依存性ナトリウムチャネル / ナトリウムセンサー / 浸透圧センサー |
Research Abstract |
《実験の背景》 脳血液関門を欠く脳室周囲器官のひとつである内側隆起(median eminence、MEと略記)は解剖学的に上衣細胞層・内層・外層の3層より成るが、上衣細胞(tanycytes)だけが濃度依存性Na^+チャネル(NaCと略記)を多量に持っている。脳脊髄液(CSFと略記)に接している上衣細胞層と外層の生理機能が異なっているのではないかとの前提で実験を行った。 《実験方法と実験結果》 MEを含むマウス脳スライスを作成してNa^+感受性蛍光色素(SBFI)で染色し、細胞外Na^+濃度([Na^+]_o)を変化させた時の各脳部位の細胞内Na^+濃度([Na^+]_i)変動を観察した。 1)MEの上衣細胞層と内層:[Na^+]_o上昇に対しては[Na^+]_i上昇で応答するが、[Na^+]_o下降には殆ど応答しない。また、浸透圧変化には反応しない。 2)MEの外層:[Na^+]_o上昇に対しては[Na^+]_i上昇で応答するが、[Na^+]_o下降には殆ど応答しない。浸透圧変化にも応答するのが特徴である。 3)上衣細胞層の隅角部(両隅)では、[Na^+]_o上昇に対し[Na^+]_oが下降するという逆反応が観察された。 4)[Na^+]_o変化に対する反応は電位依存性Na^+チャネルの選択的抑制剤であるテトロドトキシン(TTX)に影響されなかったので、上衣細胞層のNa^+特異性反応は濃度依存性Na^+チャネルによると考えられる。 《結論・考察》 1)内側隆起は、Na^+濃度センサー(上衣細胞層・内層の一部)と浸透圧センサー(外層)の二重生理機能を持っている。 2)第三脳室に接しているMEの上衣細胞層は、脈絡叢が産生するCSFのNa^+濃度(CSF浸透圧決定の主因子)を監視している。 3)脳室を出て脳の外表を浸しているCSFに接するMEの外層は、(Na^+選択性を持たず)CSFの浸透圧を監視している。 4)MEは、CSFの浸透圧調節を監視して脳浮腫の予防と脳の浮遊状態調節に関与していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ogata, N., Yoshida S.: "New perspectives on the structure and function of sodium channel multigene family."Current Medicinal Chemistry-Central Nervous System Agents. 2. 59-81 (2002)
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[Publications] Hiyama, T.Y., 他6名: "Na_x channel involved in CNS sodium-level sensing."Nature Neuroscience. 5. 511-512 (2002)