2003 Fiscal Year Annual Research Report
肺細動脈における受容体依存性TRPチャネルの発現とその活性メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
14570052
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
加藤 健一 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (90320332)
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Keywords | ラット / 肺動脈 / エンドセリン-1 / TRPC |
Research Abstract |
TRPC (transient receptor potential channel)蛋白が、受容体刺激や細胞内酸化還元反応により活性化されるCa^<2+>チャネル本体である可能性が示唆されている。そこで、ラット肺動脈において、エンドセリン-1(ET-1)および、ミトコンドリアの呼吸阻害薬であるFCCPや、細胞内酸化還元反応に影響を与えるH_2O_2による影響を調べた。それらを調べるにあたり、Fura-2蛍光法による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)測定法と、パッチクランプ法を用いた。ET-1、FCCPおよびH2_O_2の投与により、顕著な[Ca^<2+>]_i上昇が観察され、これらは電位依存性Ca^<2+>チャネル抑制剤であるnifedipine、あるいはnicardipineにより抑制されなかった。とくに、ET-1による[Ca^<2+>]_i上昇は、PLCを抑制するU-73122、および膜透過性のIP_3受容体ブロッカーである2APB、あるいはXestospongin Cの投与により抑制された。また、パッチクランプ法を用いランプパルスにより電位依存性Ca^<2+>チャネルを活性化させ、それに対するET-1による影響を調べたところ、肺動脈においてはCa^<2+>電流に大きな影響を与えなかったものの、腎動脈ではCa^<2+>電流を増強した。上記のことから、肺動脈においてET-1により活性化されるCa^<2+>チャネルは電位依存性Ca^<2+>チャネルではないこと、また、その活性化メカニズムにはPLCおよびIP_3受容体が何らかの形で関与していることが明らかとなった。RT-PCR法により数種のTRPCの存在を確認しており、肺動脈における受容体作動性Ca^<2+>流入チャネルの本体がはたしてTRPCファミリーの中の一つかどうか検討中である。また、細胞内酸化還元に関与する[Ca^<2+>]_i上昇が、近年報告されているTRPM2と性質が似ているものの、RT-PCR法によりその存在は明らかにできなかったため、類似の性質を持つ新たなチャネルの存在が示唆された。
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