2002 Fiscal Year Annual Research Report
扁桃体のストレス反応に性差はあるか―小ケージ居住型のストレス反応を指標として
Project/Area Number |
14570061
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田中 冨久子 (貴邑 冨久子) 横浜市立大学, 医学部・第二生理, 教授 (40046066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美津島 大 横浜市立大学, 医学部・第二生理, 講師 (70264603)
舩橋 利也 横浜市立大学, 医学部・第二生理, 助教授 (70229102)
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Keywords | 性差 / アセチルコリン / ドーパミン / セロトニン / ストレス / 飼育環境 / 扁桃体 / 海馬体 |
Research Abstract |
生体に見られる内分泌性のストレス反応として、副腎皮質ホルモン(CS)分泌反応がよく知られているが、脳内においても様々なストレス反応が見られる。本研究では雌雄のラットを用い、CS分泌反応における性差を確認すると共に、脳内ストレス反応の性差の有無を明らかにする。通常の円筒型飼育ケージ(直径35cm)でラットを飼育し、in vivoマイクロダイアリシス法を用いて検討したところ、雌雄共に緊縛ストレス直後に海馬体内アセチルコリン(ACh)分泌量が速やかに増加した後、徐々に低下したが、雌性ラットにおけるACh分泌反応は、雄性ラットよりも小さいことが判明し、一方、CS分泌反応は雄性よりも雌性で大きく、これらストレス反応の性差が明らかとなった。また、環境因子がこれらストレス反応の性差に及ぼす影響を検討するため、雌雄のラットを4日間小ケージ(直径19cm)で飼育し、同様に上記のストレス反応について検討した。その結果、小ケージ飼育は雄性ラットにおけるACh分泌反応を減弱させたが、雌性ラットにおけるACh分泌反応には影響せず、小ケージ型のストレス反応にも性差が認められることも判明した。 緊縛ストレスが、扁桃体外側基底部におけるドーパミン(DA)分泌やセロトニン(5HT)分泌に及ぼす影響やその性差についても、通常の円筒型飼育ケージ(直径35cm)でラットを飼育し、in vivoマイクロダイアリシス法を用いて検討した。その結果、DAについては、緊縛前の値と比べ、雄性ラットでは緊縛中、緊縛後に渡り有意な分泌反応が認められなかったが、雌性ラットでは緊縛開始直後より分泌が上昇して、緊縛解放までに分泌は速やかに低下して、明確なDA分泌反応が認められることが判明した。また、緊縛ストレスへの5HT分泌反応は、雌雄共に認められた。緊縛開始直後より5HT分泌が上昇し、緊縛解放後には5HT分泌が低下したが、雌性でより強い5HT分泌反応が認められることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Mitsushima D. et al.: "GABA release in the medial preoptic area of cyclic female rats"Neuroscience. 113. 109-114 (2002)
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[Publications] Tin-Tin-Win-Shwe et al.: "Profiles of in vivo GABA release in the medial preoptic area of intact and castrated male rats"Neuroendocrinology. 76. 290-296 (2002)
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[Publications] Mitsushima D. et al.: "Sexual dimorphism in the GABAergic control of gonadotropin release in intact rats"Neuroscience Research. (in press). (2003)
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[Publications] Mitsushima D. et al.: "Rats living in small cages respond to restraint stress with adrenocortical corticosterone release but not with hippocampal acetylcholine release"Psychoneuroendocrinology. (in press). (2003)