2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14570062
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Research Institution | Yokohama City University Graduate School of Medicine |
Principal Investigator |
舩橋 利也 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (70229102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美津島 大 横浜市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70264603)
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Keywords | 内分泌撹乱物質 / 大脳新皮質 / 海馬 / ビスフェノールA / オクチルフェノール / ノニルフェノール / プロジェステロン受容体 / エストロジェン |
Research Abstract |
前年度に引き続き本年度の研究は、申請者らの「内分泌撹乱物質は,ノン・エストロジェニック作用により特に前頭葉機能に影響し,学習獲得過程を障害する」という仮説を検証するために行った。1)成熟ラットにビスフェノールA(BPA)、ノニルフェノール(NP)、もしくはオクチルフェノール(OP)を投与して、前年度に明らかにした前頭葉新皮質のプロジェステロンmRNA発現誘導が、BPA以外の内分泌撹乱物質でも同様に惹起されるか否かを検討した。その結果、前頭葉新皮質ではBPAと同様に、NPおよびOP投与によりPR mRNAの発現は有意に増加したが、NPおよびOP投与は後頭葉新皮質および側頭葉新皮質のPR mRNA発現には有意な変化を惹起しなかった。従って、内分泌撹乱物質の中でも新皮質の領域により効果が異なることが明らかとなった。特に、下垂体のPR mRNA発現に対してはNPおよびOPがBPAよりも強い作用を持つことを考えると、作用の部位特異性は単にエストロジェン様作用の強弱ではなく、作用機序が異なることが推測された。2)次に,前頭葉新皮質の急性切片を作製しマクロカルシウムイメージングを行い、BPAの急性投与がカルシウム変動に影響を及ぼすか否かを検討した。その結果、高カリウム刺激により約5%のカルシウム上昇が認められたが、この上昇に対してBPAは有意な影響を及ぼさなかった。刺激の種類をかえて検討する必要性があると考えられた。3)まず、新規導入の装置で、既報の如くオープンフィールド行動の性差が検出出きるか否か検討した。その結果、雌性ラットの方が雄性ラットと比較して、総移動距離の長いことが確認された。現在、BPA投与がこの行動にいかなる影響を及ぼすのか検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Funabashi T, et al.: "p-Nonylphenol, 4-tert-octylphenol and bisphenol A increase the expression of progesterone receptor mRNA in the frontal cortex of adult ovariectomized rats"Journal of Neuroendocrinology. 16. 99-104 (2004)
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[Publications] 貴邑冨久子, 他: "内分泌撹乱物質の中枢作用-Progesterone受容体発現に及ぼすbisphenol Aの影響を指標として-"脳の科学. 25. 1125-1131 (2003)
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[Publications] 舩橋利也, 他: "ラットにおけるGnRHサージジェネレーターの神経機構"神経研究の進歩. 47. 389-397 (2003)
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[Publications] 舩橋利也, 他: "内分泌撹乱物質の中枢神経系への影響-ビスフェノールAを例として-"医事新報. 4137. 17-20 (2003)