2003 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズムの初期発現と視交叉上核からの概日リズム情報の伝達機構の解析
Project/Area Number |
14570063
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
磯部 芳明 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (70094357)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 慎一 山口大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10274151)
|
Keywords | 概日リズム / 時計遺伝子 / Per / Bmal1 / vasopressin / Melatonin / 視交叉上核 / 松果体 |
Research Abstract |
Circadian rhythmの主たる振動体である視交叉上核(Suprachiasmatic nucleus, SCN)での時計遺伝子の発現からの発振機構の解析を行った。最近、末梢でも時計遺伝子が概日リズムを示す事が明らかになり、主時計のSCNからの出力との関係を解明する目的で、Period(Per2),Bmal1のmRNAをまた、SCN内で実際に出力系に働く伝達物質としてArg-vasopressinを指標にしてSCNと室旁核(交感神経の中継核、PVN)でその変動を光照射、及び明暗周期のshift下で測定した。Per2は光反応性があり、速やかに、PVN内で光情報を処理できる事、PVN内では、Bmal1の転写にSCNとは異なる機構がある事が判明した(投稿中)。更に、従属時計として知られている松果体との関連でSCNとPVNでPer2,Bmal2のmRNAと松果体内のN-acetyl-transferase, IcerのmRNAを調べた。やはり、PVNでSCNからの時計情報が修飾される事が判明した(投稿中)。このように、PVNを経由する交感神経系を媒介として末梢に時計情報が伝えられる可能性が出てきた。ただし、肝臓などでは主時計とは約4時間の遅れがありこの遅れの理由はまだ解らず、今後の課題と考えている。 CLOCK/BMAL1のheterodimerの形成はRedox(酸化還元)レベルが大きく影響し、NADが還元状態でなければ転写は起きない事が報告された。この下流の乳酸脱水素酵素(LDH)を調節しておりリズム発現のkeyと説明している。そこで、酸化還元に直接影響するmitochondria内のタンパク質を2次元電気泳動で調べたところ、数種の蛋白が日内変動を示し、その内のA物質(今時点では明記できない)に着目して他の時計遺伝子との関連、機能上LDHとの関係を調べている。この、mitochondriaを介する、代謝系が肝臓でのSCNとの時間差の原因とも考えられ、この点も現在検討中。
|