2004 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギーと腸管免疫性疾患:特に腸管求心性知覚神経の役割について
Project/Area Number |
14570065
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Research Institution | TOYAMA MEDICAL AND PHARMACEUTICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
門脇 真 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (20305709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藏本 博史 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (30153373)
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Keywords | ラット腸管 / 植物アレルギー / キャプサイシン / TRPV1 / 免疫組織化学 / CGRP / COX-1 / COX-2 |
Research Abstract |
食物アレルギーや炎症性腸疾患などの疾患では、腸管での知覚過敏状態がこれらの疾患の病因や疾患の進展に深く関与していることが報告され、腸管求心性知覚神経の異常が注目されている。そこで、キャプサイシン(CAP)感受性知覚神経の生理的及び病態生理的役割を解明するため、機能及び形態の両面より検討した。 CAPは空腸及び近位結腸では弛緩反応を誘起し、この弛緩反応はTRPV1(CAP受容体)拮抗薬であるキャプサゼピンで強く抑制され、さらに、CGRPの反復投与によるCGRP受容体の脱感作によっても強く抑制された。従って、CAPの作用がTRPV1を介すること、CAPはCGRPを遊離させることによりその作用を発現させることを薬理学的に初めて明らかにした。 また、TRPV1抗体を用いる免疫組織化学的検討では粘膜下神経叢と筋層間神経叢にvaricosityを持ったTRPV1陽性神経線維が多数認められたが、陽性神経細胞体は腸管壁内神経節には見られなかった。また、TRPV1陽性神経線維のほとんどはCGRP陽性であり、substance P陽性ではないことがわかった。さらに、腸管外来神経を外科的に除神経すると、CAPによる弛緩反応及びTRPV1陽性神経線維は全て消失した。従って、腸管のTRPV1陽性CAP感受性知覚神経は、腸管外来性神経であり、CGRPを主な神経伝達物質としているとともに、末梢側では軸索反射などによりCGRP受容体を介して作用することが明らかとなった。 さらに、食物アレルギー病態モデルでの検討のため、ラットに卵白アルブミンを投与し、感作ラットを作製した。感作ラット摘出腸管では卵白アルブミンの投与により持続的収縮が惹起されたが、この反応はCAPの反復投与によるTRPV1の脱感作やキャプサゼピンでは抑制されなかった。一方、この持続的収縮反応はCyclooxygenase (COX)-2阻害薬のみならずCOX-1阻害薬によっても強く抑制され、構成型酵素と考えられているCOX-1の新たな病態生理学的役割が示唆された。
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Research Products
(2 results)