2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14570083
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
光山 勝慶 (金 勝慶) 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (10195414)
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Keywords | シグナル伝達系 / 血管肥厚 / 心肥大 / アポトーシス / 増殖 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
ASK1の遺伝子欠損マウスを用いて、アンジオテンシンIIによる心肥大におけるASK1の関与について検討した。野生型マウスでは、アンジオテンシンIIの持続注入により著明な心肥大、遺伝子発現の活性化、線維化、アポトーシス、心機能低下が見られたが、ASK1遺伝子欠損マウスでは全て減弱していた。すなわち、ASK1が心肥大およびリモデリングに重要な役割を演じていることがわかった。 血管内膜肥厚は、動脈硬化の機序に重要な役割を演じている。そこで、バルーン障害によるラットの血管内膜肥厚モデルにおいて、ASK1の役割を検討した。バルーン障害による血管内膜肥厚はASK1のドミナントネガティブミュータント遺伝子(DN-ASK1)導入により有意に抑制された。その機序について検討したところ、血管平滑筋細胞の増殖、および遊走の抑制が関与している。一方、アポトーシスは、DN-ASK1による血管内膜肥厚抑制には関与していなかった。さらに、DN-ASK1による血管内肥厚の抑制機序について検討したところ、JNKとp38の活性抑制が関与していることがわかった。 また、ASK1の遺伝子欠損マウスを用いて、ASK1の血管リモデリングにおける役割について検討した。カフによる血管外膜刺激による血管内膜肥厚モデルを用いて検討したところ、ASK1遺伝子欠損マウスでは野生型マウスと比べて、血管内膜肥厚は有意に抑制されていた。さらに、ASK1遺伝子欠損マウスと野生型マウスから血管平滑筋細胞を単離し培養し、性質を比較検討した。血清刺激による平滑筋細胞の増殖と遊走は、野生型マウスと比較してASK1遺伝子欠損マウスでは有意に減弱していた。以上から、ASK1は平滑筋細胞の増殖・遊走を介して、血管内膜肥厚を促進する作用がある。従って、今後、ASK1を阻害することは動脈硬化の治療に有用と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Izumiya Y, Kim S, Izumi Y, Yoshida K, Yoshiyama M, Matsuzawa A, Ichijo H, Iwao H: "Apoptosis signal-regulating kinase 1 plays a pivotal role in angiotensin II-induces cardiac hypertrophy and remodeling."Circ Res.. 93. 874-883 (2003)
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[Publications] Izumi Y, Kim S, Yoshiyama M, Izumiya Y, Yoshida K, Matsuzawa A, Koyama H, Nishizawa Y, Ichijo H, Yoshikawa J, Iwao H.: "Activation of apoptosis signal-regulating kinase 1 in injured artery and its critical role in neointimal hyperplasia"Circulation.. 108. 2812-2818 (2003)
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[Publications] Omura T, Yoshiyama M, Kim S, Matsumoto R, Nakamura Y, Izumi Y, Ichijo H, Sudo T, Akioka K, Iwao H: "Takeuchi K, Yoshikawa J. Involvement of apoptosis signal-regulating kinase-1 on angiotensin II-induced monocyte chemoattractant protein-1 expression."Arterioscler Thromb Vasc Biol.. 24. 270-275 (2003)
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[Publications] 金 勝慶: "心不全フロンテイア"メディカルレビュー社. 266 (2003)
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[Publications] 金 勝慶: "循環器New Trendsシリーズ 新世代の循環器薬物療法"メジカルビュー社. 193 (2004)