2002 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンとトリプトファンの動きからみた蛋白質の高次構造変化と機能との相関
Project/Area Number |
14570103
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
長井 雅子 金沢大学, 医学部, 教授 (60019578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 博 金沢大学, 医学部, 助教授 (00225848)
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Keywords | ヘモグロビン / 異常血色素 / SrcSH3 domein / 高次構造変化 / チロシン / トリプトファン / 共鳴ラマン分光 / 円二色性 |
Research Abstract |
蛋白質としてヘモグロビンと情報伝達系蛋白のSH3ドメインを選び、その高次構造変化と機能の相関について研究し、下記の実験結果を得て3つの論文にまとめた。 Hb M Boston(Hisα58→Tyr)は天然の異常血色素で、変異の起こっているα鎖は生理的条件下でも酸化しており、その上、正常β鎖の酸素親和性が著しく低下していて強いチアノーゼ症状を呈する。何故、酸素親和性の低い四次構造(T, tense)に保たれているか、その性質はどのような条件下でも変わらないのかについて、共鳴ラマン、EPR、およびCD分光法により検討した。その結果、pHをアルカリ側に上げることによって酸素親和性が上がることをみつけ、その際のヘムの状態、サブユニット界面の状態の変化を調べた。また、一方のサブユニットのヘム鉄をNiに置換したFe-Ni hybrid Hbは条件によってはFeヘムにリガンドガ結合していてもT構造をとりうる。アロステリックエフェクターの有無やpHを変えることにことによって四次構造をTからR(relaxed)に変えることが可能で、その際のサブユニット界面のTyrやTrpの変化を紫外共鳴ラマンで調べた。これらの研究はヘモグロビンの四次構造変化の謎をとく一つの糸口となりうる。 一方、Srcおよびphosphatidylinositol 3kinase (PI3K)のSH3 domeinにはTyrやTrpが存在していてプロリンを含む蛋白部分との特異的接触により情報伝達を行う。それぞれのリガンドペプチドによるTyrやTrpの変化を紫外共鳴ラマンおよび紫外域CDにより詳細に調べ、リガンドにより異なる応答をすることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nagatomo, S., Jin, Y., Nagai, M., Hori, H., Kitagawa, T.: "Changes in the abnormal α-subunit upon CO-binding to the normal β-subunit of Hb M Boston : resonance Raman, EPR, and CD study"Biophys.J.. 98. 217-232 (2002)
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[Publications] Nagatomo, S., Nagai, M., Shibayama, N., Kitagawa, T.: "Differences in changes of the α1β2 subunit contacts between ligand binding to the α and β subunits of Hb A : UV resonance Raman analysis using Ni-Fe hybrid hemoglobin"Biochemistry. 41(21). 10010-10020 (2002)
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[Publications] Okishio, N., Tanaka, T., Fukuda, R., Nagai, M.: "Differential ligand recognition by the Src and phosphatidylinositol 3-kinase Src SH3 domeins : Circular dichroism and ultraviolet resonance Raman studies"Biochemistry. 42(2). 208-216 (2003)