2003 Fiscal Year Annual Research Report
bHLH蛋白質(E2A)によるB細胞クラススイッチ制御機構の解析
Project/Area Number |
14570104
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅井 学 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90303891)
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Keywords | E2A / Pax5 / Id2 / B cell / IgE / class switch |
Research Abstract |
1.アレルギーの原因となるIgE抗体は、他の抗体の1/1000以下という低い血中濃度で維持されていることは広く知られていたが、その分子機構は全く不明であった。Id2欠損マウスの血中IgEレベルが亢進していることをみいだしたため、Id2がIgEクラススイッチの負の制御因子として機能しているのではないかとの作業仮説として実験を行った。その結果、IgEのクラススイッチにはE2Aという転写因子が重要であり、E2Aの負の制御因子であるId2が実際にIgEのクラススイッチを負に制御していることが明らかになった。さらに,免疫系のホメオスタシス維持に重要であるTGF-β1がId2を誘導する活性を持ち、過剰なIgE産生の負の制御因子として働いていることも明らかにした。2.Id2(ベーシックヘリックスループヘリックス型転写因子であるE2Aの抑制因子)の過剰発現によりクラススイッチが抑制されること(Murreら)から、我々の研究室ではIdはAID発現の負の制御因子として働いているのではないかという作業仮説をもとに、さらには実際にAIDの発現を正に制御している因子を検索する目的にて実験を行った。まず我々は、Id2過剰発現B細胞でのAID発現が1/5に減少していることをみつけた。さらに、Id2欠損マウスのB細胞は正常個体の五倍のAIDを発現していることを見い出した。さらにAID発現には、Pax5が正の制御因子として働いていることを示した。3.クラススイッチ組み換えは領域特異的(S領域)なDNA組み換えであり、この結果、抗体遺伝子に様々な異なる生物学的機能が付与される。スイッチするべきクラスの決定は、エンハンサー、プロモーターによるS領域への組み換え因子のaccessibility制御によることが想定されているが、その分子的実体は明らかではない。そこでまずはじめに、ヒストンアセチル化、germline transcript、クラススイッチ組み換えが常に正の相関をしめすことを見い出した。次に、IL-4はIgEへのスイッチを亢進因子、TGF-β1は、IgE特異的なスイッチ抑制因子であることを利用し、さらにTSAを加えることにより、IgEローカスにてgermline transcriptが発現せずに、ヒストンのアセチル化された状態を作り出すことに成功した。この時、IgEへのスイッチは抑制されたままだったことから、クラススイッチのaccessibility制御はヒストンアセチル化ではなく、転写自体がより重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nambu, Y., Sugai, M.^#, Gonda H., Lee, C-G., Katakai, T., Agata, Y., Yokota Y., Shimizu, A: "Transcription-coupled events associating with Immunoglobulin switch region chromatin"Science. 302. 2137-2140 (2003)
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[Publications] Gonda H., Sugai, M^#., Nambu, Y., Katakai, T., Agata, Y., Mori, K.J., Yokota Y., Shimizu, A.: "The balance between Pax5 and Id2 activities is the key to AID gene expression"J.Exp.Med.. 198・9. 1427-1437 (2003)
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[Publications] Sugai M., Gonda H., Kusunoki T., Katakai T., Yokota Y., Shimizu A.: "Essential role of Id2 in negative regulation of IgE class switching"Nature Immunol. 4.(1). 25-30 (2003)
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[Publications] Kusunoki T^#, Sugai M^#, Katakai T, Omatsu Y, Iyoda T, Inaba K, Nakahata T, Shimizu A, Yokota Y: "Th2 dominance and defective development of CD8+ dendritic cell subset in Id2-deficient mice"J Allergy Clin Immunol. 111. 136-142 (2003)
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[Publications] Katakai, T., Hara, T., Sugai, M., Gonda, H., Shimizu, A.: "Th1-biased tertiary lymphoid tissue supported by CXCL13-producing stromal network in the chronic lesions of autoimmune gastritis"J.Immunol.. 171. 4359-4368 (2003)
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[Publications] Katakai T., Hara T., Sugai M., Gonda H., Nambu Y., Matsuda E., Agata Y., Shimizu A.: "Chemokine-independent preference of T-helper-1 cells in transendothalial migration"J.Biol.Chem. 277. 50948-50958 (2002)