2002 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経系における代謝型グルタミン酸受容体の局在と機能制御の分子機構の解析
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14570106
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 大 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 善明 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10300724)
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Keywords | グルタミン酸 / シナプス |
Research Abstract |
中枢神経系における興奮性神経伝達物質は主としてグルタミン酸であり、イオンチャネル型グルタミン酸受容体と代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)の働きにより興奮性シナプス伝達が行われる。現在までに8種類の代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1-8)が同定されており、タンパク1次構造・薬理学的性質・細胞内シグナル伝達系から3グループ(グループ1-3)に分類されている。mGluR2及びmGluR3は、グループ2mGluRに属し、シナプス前部、あるいはシナプス後部に存在する。シナプス前部におけるグループ2mGluRは、神経伝達物質放出の調節に関わることが示されてきた。一方、シナプス後部に存在するグループ2mGluRの機能は明らかではない。 小脳ゴルジ細胞はGABA作動性インターニューロンであり、顆粒細胞の興奮性を抑制し、苔状線維-顆粒細胞(平行線維)-プルキンエ細胞の情報伝達を調節している。平行線維-ゴルジ細胞間のグルタミン酸作動性シナプスは、ゴルジ細胞の樹状突起であるシナプス後部にのみグループ2mGluRが存在することから、シナプス前部のmGluRの影響を受けること無く、シナプス後部におけるグループ2mGluRの機能を解析できる。ゴルジ細胞特異的にGFPを発現するトランスジェニックマウスを用いて、小脳スライス上でGFPの蛍光を指標にゴルジ細胞を同定し、パッチクランプ法により顆粒細胞の平行線維-ゴルジ細胞間のグルタミン酸作動性シナプスの解析を行った。 このシナプスでは、興奮性シナプス伝達物質であるグルタミン酸により、mGluR2が活性化され、抑制性シナプス伝達が生じることを明らかにした。さらに、この抑制性シナプス伝達がGタンパク共役型内向き整流性カリウムチャネルを介して生じることを明らかにした。イオンチャネル型グルタミン酸受容体による興奮性シナプス伝達と協調的に働き、平行線維から入力に応じて、ゴルジ細胞の活動を抑制し、顆粒細胞の興奮性を強めることを示している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hazama, M., Watanabe, D., Suzuki M., Mizoguchi, A., Pastan, I., Nakanishi, S.: "Different regulatory sequences are required for parvalbumin gene expression in skeletal muscles and neuronal cells of transgenic mice"Brain Res Mol Brain Res. 110. 53-66 (2002)
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[Publications] Kitano, J., Kimura.K., Yamazaki, Y., Soda, T., Shigemoto, R., Nakajima, Y., Nakanishi, S.: "Tamalin, a PDZ domain-containing protein, links a protein complex formation of group 1 metabotropic glutamate receptors and the guanine nucleotide exchange factor cytohesins"J Neurosci. 22. 1280-1289 (2002)