2002 Fiscal Year Annual Research Report
アラキドン酸酸素添加酵素の触媒活性と遺伝子発現の阻害剤の研究
Project/Area Number |
14570113
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
山本 尚三 京都女子大学, 家政学部, 教授 (50025607)
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Keywords | アラキドン酸 / 必須不飽和脂肪酸 / プロスタグランジン / 脂質メディエータ / 酸素添加酵素 / シクロオキシゲナーゼ / リポキシゲナーゼ / 酵素阻害剤 |
Research Abstract |
1)12-リポキシゲナーゼ阻害剤:12-リポキシゲナーゼの2つのアイソザイムのうち血小板型が、トロポロン化合物のヒノキチオールによって強力に阻害されるという既報の知見を基に、種々のトロポロン化合物を検討した。白血球型には影響せず血小板型に特異的であるという点で、ヒノキチオールのベンジルエーテルが見出され、その構造活性相関を検討した。2つのアイソザイムの識別に要する構造として、ベンゼン環は必要で、さらに、ベンゼン環とヒノキチオールの間のアルキル鎖の長さを変えたり不飽和化したりした結果、桂皮アルコールがヒノキチオールとエーテル結合したものが、血小板型12-リポキシゲナーゼを20μM程度のIC_<50>で阻害し、白血球型の酵素ではもっと弱い阻害しか示さなかった。より特異的で強い阻害剤を求めて、構造活性相関の検討を続けている。 2)シクロオキシゲナーゼ-2の転写阻害剤:血管新生にシクロオキシゲナーゼ-2が関与することが報告されている。ビールホップから抽出されたフムロンが、シクロオキシゲナーゼ-2の転写を阻害するという以前の知見の上に、この化合物が血管新生を抑制する可能性に注目した。ニワトリ胎児絨毛尿膜にフムロンを添加すると、その血管新生を顕著に抑制し、また、培養血管内皮細胞のVEGF(血管内皮成長因子)の生成を阻害することを見出した。 3)プロスタグランジンE_2(PGE_2)の酵素免疫測定法の開発:シクロオキシゲナーゼ系の代謝産物で、最も多彩な生理活性を示すのはPGE_2である。シクロオキシゲナーゼの病態生理的機能の解析の一つの手段として、PGE_2の酵素免疫測定法の開発を検討している。何故この時点でPGE_2の酵素免疫測定法かというと、一般に市販されているキットでは、不安定なβ-ケトール構造をもつPGE_2そのものに標識酵素を結合しており、保存しているうちにPGE_2が分解してPGB_2に変換して、それが抗体に認識されなくなる。そこで、PGB_2の安定な誘導体で抗体が確認するものを検索して、いくつかの誘導体が抗体に高い親和性をもつことを見出している。それらをリガンドとして酵素標識したものを使って、安定で感度のよい酵素免疫測定法の開発を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] D.Deutch, N.Ueda, S.Yamamoto: "The fatty acid amide hydrolase (FAAH)"Prostaglandins, Leukotrienes and Essential Fatty Acid. 66. 201-210 (2002)
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[Publications] H.Tobe, M.Shimamura, K.Hazato, K.Yamamoto, S.Yamamoto: "Biological activities of humulone : anti-bone resorption, anti-angiogenesis and cyclooxygenase-2 gene suppression"International Journal of Molecular Medicine. Vol.10,Suppl.1. S59 (2002)
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[Publications] N.Ueda, K.Tsuboi, S.Yamamoto: "Enzymological studies on endocannabinoid metabolism"International Symposium on Recent Biomedical Advances in Eicosanoid Research. Abstract. 33 (2002)
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[Publications] R.Wiesner, H.Suzuki, M.Walther, S.Yamamoto, H.Kuehn: "Suicidal inactivation of the rabbit 15-lipoxygenase by 15S-HpETE is paralleled by covalent modification of active site peptides"Free Radical Biology & Medicine. 34. 304-315 (2003)
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[Publications] S.Yamamoto, W.L.Smith (eds.): "Molecular Biology of the Arachidonate Cascade"Special Issue in Prostaglandins and other Lipid Mediators, Elsevier. 652 (2002)