2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・プラズマ細胞様樹状細胞の正常および炎症性組織における役割の解析
Project/Area Number |
14570145
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 聖之 岡山大学, 医学部, 教授 (90101815)
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Keywords | plasmacytoid dendritic cell / interdigitating dendritic cell / immunofluorescent microscopy / human tonsil / differentiation |
Research Abstract |
ヒト相互陥入細胞(IDC)とその前駆細胞と考えられているプラズマ細胞様樹状細胞(PDC)はヒトの口蓋扁桃組織に多数存在する。そこで手術的に摘出されたヒト扁桃組織を用いて,IDCとPDCの類似点,相違点,移行の有無などを免疫組織学的に検討した。IDCはparaffin切片ではS100蛋白陽性の樹状形態を示す細胞として,凍結切片ではHLA-DR, CD40,CD54,CD83,CD86陽性の大形樹状形態細胞としてT-zoneに分布する。これに対して,PDCはCD123,CD40,CD4,CD68陽性の円形細胞としてT-zoneのHEV周囲に集団をなして存在するか,個々バラバラにT-zoneに分布する。IDCとPDCはT-zoneに別々に存在しており,IDC-areaとPDC-areaとの境界では,PDCとIDCが複合体を形成しているのが観察された。両者の移行は組織では全く認められなかった。これはPDCがIDCの前駆細胞とは考えがたい結果であった。そこで,さらに扁桃より細胞を採取し,フローサイトメトリーや蛍光抗体法で構成細胞のimmunophenotypeの詳細を検討すると同時に,培養によるPDCの樹状細胞分化を試みた。新鮮細胞はPDCとIDCは上記のimmunophenolypeを示す別々の細胞として認識された。PDCを抗CD123抗体を標識した磁気ビーズ法で純化し,培養したが,PDCは急速にアポトーシスに陥って死滅した。そこでPDCをCD40LとIL-3の存在下で培養すると成熟DCに分化した。PDCを純化せずに他の扁桃細胞と共に培養すると,in vivoでは認められないIDCとPDCの中間のimmunophenotypeを示す細胞が多数出現した。すなわち,CD123陽性でしかも樹状形態を示し,さらにHLA-DR, CD83およびCD86などの成熟DC関連抗原を発現する細胞が日を追って増加し,それと反比例してPDCは減少した。この結果はPDCがIDCに分化するとの仮説を支持するものであった。このようにin situとin vivoでは矛盾した結論が得られた。これらの結果を総合して,(1)PDCはIDCに分化しうる細胞である(2)PDCはT-cellとの相互作用でIDCに分化する(3)PDCからIDCへの分化は生体内では何らかの機構でブロックされているとの推定がなされる。以上の結果は第13回日本樹状細胞研究会(岡山),および第7回国際樹状細胞シンポジウム(ドイツ,バンベルグ)で発表した。
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