Research Abstract |
1.膵の過形成病変、膵管内乳頭腫瘍(IPMA,IPMC)、浸潤膵管癌における粘液抗原の発現に関する検討 1)過形成病変、IPMA,IPMCにおける粘液抗原の発現 膵管上皮の過形成では、粘液抗原pS2,HGM,MUC5AC,MUC6,SIMA,MUC2,MUC1の発現は、それぞれ32.4%,26.5%,38.2%,35.3%,5.7%,0%,並びに11.8%を示した。IPMAでは、それらの粘液抗原は、それぞれ84.4%,84.4%,31.3%,15.6%,6.3%並びに12.5%で、IPMCでは、それぞれ81.3%,75.0%,81.3%,25.0%,50.0%,25.0%,並びに31.3%を示した。胃型の形質発現(pS2,HGM,MUC5AC,MUC6)は、過形成、腺腫、さらに腺癌で有意な発現があり、小腸マーカーSIMAは癌で特異的な発現を示した。 2)浸潤膵管癌における粘液抗原の発現 浸潤膵管癌では、粘液抗原MUC5AC,SIMA,MUC2,MUC1は、それぞれ73.9%,45.7%,4.3%,100%の発現が認められた。またMUC1,MUC5AC,SIMAの腫瘍間質での陽性率は、それぞれ37.0%,60.9%並びに、26.1%を示し癌間質に大部分認められた。臨床病理学的には、MUC1またはSIMAの間質発現を示す症例が、両者とも陰性の症例に比較して有意に予後不良だった。 2.胆管の過形成病変、dysplasia,腺癌における粘液抗原の発現 過形成病変では、HGM,MUC2の発現は認められなったが、pS2,MUC5AC,MUC6,SIMAがわずかに発現していた。Dysplasiaでは、発現はすべてなく、腺癌においてpS2、HGM、MUC5AC,SIMAでそれぞれ65.2%,65.2%,86.4%,65.2%認められ、有意な発現を示した。臨床病理学的にHGMの発現がある症例は、血管浸潤、深達度が有意に高かった。
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