2002 Fiscal Year Annual Research Report
胃疾患における新規ペプタイド・グレリンの発現と病態生理に関する分子病理学的検討
Project/Area Number |
14570151
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
関根 一郎 長崎大学, 医学部, 教授 (60039922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津留 晶 長崎大学, 医学部, 助手 (00233198)
中島 正洋 長崎大学, 医学部, 講師 (50284683)
山下 俊一 長崎大学, 医学部, 教授 (30200679)
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
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Keywords | 胃がん / 胃切除後症候群 / グレリン |
Research Abstract |
【目的】胃切除術後の患者で一般に認められる食欲低下や体重減少といった症状が、切除に伴う消化吸収障害によるものだけではなく、グレリン欠乏による特異的な胃内分泌機能低下症に基づく症状である可能性が考えられる。今回、胃切除後のグレリンの血中動態を明らかにすると同時に、IGF-1、GH、レプチンといったホルモンを同時に測定することによって、胃切除後症例の病態におけるこれらホルモンの関与を明らかにし、グレリンによる治療への応用が可能かどうか検討した。【対象と方法】対象は胃全摘、亜全摘、膵頭十二指腸切除などの53症例(男性33例、女性20例)。年齢:38-89歳、平均67歳。このうち15例に関しては術前、術後2週と1月後の経過を検討した。長崎大学倫理委員会の承認後、インフォームドコンセントの得られた治癒切除可能な胃切除予定症例、および術後6ヶ月以上経過し再発の認められない症例に関し、血漿、血清を採取し、グレリン、IGF-1、GH、レプチンの測定を行った。また身長・体重よりBMIを求めた。切除標本は、グレリンの免疫染色によりその発現を検討した。【結果】胃摘術後長期にわたりグレリンの低下を認める症例があり、それは胃の切除範囲と関連があったが、膵頭十二指腸切除術では体重減少はあるもののグレリンの低下は認めなかった。また、胃摘術後の体重減少とグレリン低下は相関しており、さらにグレリンの変動とレプチンやGHとの関連は認めなかったが、IGF-Iはグレリンと同様な経時的変動が見られた。【考察】以上のことから胃全摘出術後に認められる様々な機能障害の一部、もしくはかなりの病態メカニズムにグレリン欠乏が関与している可能性が示唆され、いわば「グレリン欠乏症候群」の存在の可能性が示唆された。今後は、胃切除後症候群における治療への応用も視野に入れていく必要があると考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Wen CY, Nakashima M, Nakayama T, Sekine I et al.: "Overexpression of Heat Shock Protein 70 in the Stomach of Stress-Induced Gastric Ulcer-Resistant Soontaneously Hypertensive Rats"Clin Exp Hypertension. 24・6. 448-449 (2002)
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[Publications] Shichijo K, Ihara M, Sekine I et al.: "Overexpression of Heat Shock Protein 70 in the Stomach of Stress-Induced Gastric Ulcer-Resistant Spontaneously Hypertensive Rats"Clin Exp Hypertension. 24・6. 448-449 (2002)
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[Publications] Ito M, Nakashima M, Nakayama, Ohtsuru A, Sekine I et al.: "Preventive effects of parathyroid hormone-related peptide on gastric hypercontraction in the rat"Gastroenterol Hepatol. 17・12. 1260-1266 (2002)
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[Publications] Tsuda S, Ohtsuru A, Yamashita S et al.: "Role of c-Fyn in FGF-2-mediated tube-like structure formation by murine brain capillary endothelial cells"Biochem Biophys Res Commun. 290・4. 1354-1360 (2002)
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[Publications] Akiyama-Uchida Y, Ashizawa N, Ohtsuru A et al.: "Norepinephrine enhances fibrosis mediated by TGF-beta in cardiac fibroblasts"Hypertension. 40・2. 148-154 (2002)
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[Publications] Ito M, Nakashima M, Nakayama T et al.: "Expression of receptor-type tyrosine kinase, axl, and its ligand, gas6, in pediatric thyroid carcinomas around chernobyl"Thyroid. 12・11. 971-975 (2002)