2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群の発症における補体とC反応性蛋白の関与
Project/Area Number |
14570153
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Research Institution | (Miyazaki Medical College) University of Miyazaki |
Principal Investigator |
浅田 祐士郎 宮崎大学, 医学部, 教授 (70202588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 卓郎 宮崎大学, 医学部, 講師 (60203329)
畠山 金太 宮崎大学, 医学部, 助手 (60325735)
丸塚 浩助 宮崎大学, 医学部, 助教授 (00239154)
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Keywords | 冠動脈硬化 / C反応性蛋白 / 補体 / 冠動脈アテレクトミー |
Research Abstract |
急性冠症候群の患者の血中でC反応性蛋白(CRP)、IL-6値が上昇していることが報告されており、動脈硬化巣の発生・進展過程における炎症の関与が検討がされてきている。本研究では、狭心症患者の冠動脈アテレクトミー(DCA)標本を用いて、冠動脈硬化巣における補体系、CRPの蛋白局在とそのmRNA発現を検討し、病理組織所見と臨床所見と併せて解析した。 その結果、動脈硬化巣では、補体(C3)とCRPの強い遺伝子発現が観察された。これらの分子は、免疫組織化学において、動脈硬化巣内のマクロファージと平滑筋細胞に陽性所見を認め、特にマクロファージにおいて非常に強い発現を認めた。臨床所見との検討において、不安定狭心症患者のDCA標本では安定狭心症患者に比べて、CRP陽性細胞の比率とCRP発現量が有意に高かった。またCRP陽性細胞の比率はDCA後再狭窄率と正の相関を示した。血中CRPの由来を検討する目的で、冠動脈流入側(バルサルバ洞)と流出側(冠静脈洞)でのCRP濃度を計測したところ、流入側に比して流出側でCRP値は高く、狭心症患者では有意な高値を示した。以上のことから、(1)冠動脈硬化巣の主にマクロファージにおいてCRPが産生され、冠循環に流出していること、(2)動脈硬化巣で産生されたCRPが動脈硬化巣の不安定化に関与し、不安定狭心症ならびに急性心筋梗塞の発症に関わっている可能性があること、(3)またCRP陽性細胞比がDCA後再狭窄率と相関することより、DCA標本の検討は、心血管イベントと再狭窄の予測因子の一つとなりえると期待された。 本研究の結果は急性冠症候群の病態解明ならびに術後再狭窄予防に直結するもので、非常に意義のある結果と考えている。現在、さらに症例を重ねたデータの解析を進めており、他の炎症性サイトカイン類についての検討も始めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishikawa T, et al.: "Involvement of c-reactive protein obtained by directional coronary atherectomy in plaque instability and developing restenosis in patients with stable or unstable angina Pectolis"Am.J.Cardiol.. 91・3. 287-292 (2003)
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[Publications] Ishikawa T, et al.: "Possible contribution of C-reactive protein within coronary plaque to increasing its own plasma levels across coronary circulation"Am.J.Cardiol.. 93・5. 611-614 (2004)