2002 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起膠腫の診断精度向上へ向けて基礎的研究とその展開
Project/Area Number |
14570159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣瀬 隆則 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00181206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 隆司 東京都神経科学総合研究所, 臨床神経病理学, 副参事研究員 (90205526)
石澤 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10327025)
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Keywords | 脳腫瘍 / 乏突起膠腫 / 1p欠失 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
乏突起膠腫oligodendrogliomaには、現在少なくとも2つの異なる発癌機構が知られている。過半数の例で1pおよび19qの欠失が認められ、それらに対して化学療法が有効で、しかも予後良好であると報告されている。一方、欠失のない群は反応性が乏しい。従って、染色体欠失との相関性が高い組織診断基準が強く求められている。 今年度は基礎的研究として、1p欠失を示す乏突起膠腫(7例)と示さないもの(6例)の電顕的解析を行い、両群を構成する腫瘍細胞の細胞分化を検討した。 その結果、主たる腫瘍細胞は特徴の乏しい小型類円形細胞(OLC)であることが明らかとなった。この細胞は円形の核と狭い細胞質を有している。細胞質内には微小管、ミトコンドリア、ゴルジ装置などを認めるが、概して小器官は乏しく、分化度の低い腫瘍細胞であった。また、髄鞘様構造を示す乏突起細胞様細胞(Oligo)、中間径フィラメントが豊富な星細胞様細胞(Astro)も含まれていた。さらに細胞質にシナプス形成を認める神経細胞様細胞(Neuro)も少数観察された。これらが出現する割合は、1p欠失(+)群ではOLC100%、Oligo57%、Astro29%、Neuro43%で、1p欠失(-)群ではOLC100%、Oligo67%、Astro100%、Neuro33%であった。 以上の結果から、乏突起膠腫では乏突起膠細胞への分化以外に、星細胞や神経細胞性分化までも認められることが明らかとなった。両群間で構成細胞に質的な差はなかったが、出現頻度を比較すると、1P欠失(-)群では星細胞性分化が全例で認められた点が際立っていた。来年度以降は、この構成細胞の違いを免疫組織化学的に確認し、精度の高い診断基準の作成を行う予定である。
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Research Products
(1 results)