2003 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起膠腫の診断精度向上に向けての基礎的研究とその展開
Project/Area Number |
14570159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣瀬 隆則 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00181206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 隆司 東京都神経科学総合研究所, 臨床神経病理学, 副参事研究員 (90205526)
石澤 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10327025)
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Keywords | 脳腫瘍 / 乏突起膠腫 / FISH / 1p欠失 / 免疫組織化学 / 微小管 |
Research Abstract |
近年、乏突起膠腫に有効な化学療法が開発され、その正しい組織診断が重要になってきている。乏突起膠腫の診断精度を向上させるために今年度も多角的な解析を継続して行った。 まず乏突起膠腫に特徴的とされている1番染色体短腕の欠失をfluorescence in situ hybridization (FISH)法を用いて検討し、その診断的意義を明らかにした。対象は乏突起膠腫(5例)、胚芽異形成性神経上皮腫瘍(2例)、中枢性神経細胞腫(2例)、rosette-forming glioneuronal tumor of the fourth ventricle(1例)である。1番染色体のセントロメアと短腕テロメアに対する2種類のプローブを用い、組織切片上で同時にハイブリダイゼーションを行った。2個のセントロメアが確認できた核で1pテロメア数を算定した。その結果、乏突起膠腫の4例(80%)では、1pテロメアのシグナルが1個しか検出されない核が多数(40-77%)を占めていた。これらの4例には1pの欠失を認めることが確認された。一方、組織学的に鑑別の対象となる腫瘍群では、この欠失は見出せなかった。以上より、1p欠失は乏突起膠腫に特徴的な染色体異常であること、FISH法による染色体解析が有用な補助的診断手段になりえることを確認した。 さらに現在、乏突起膠腫の腫瘍細胞でしばしば認められる微小管および関連蛋白発現の解析を免疫組織化学的に行っている。予備実験では、主要な微小管蛋白であるclass III beta-tubulinが乏突起膠腫の細胞質内に高頻度に陽性になることが明らになった。今後、他の膠腫も含め、微小管と関連蛋白の発現を検討していく予定である。 来年度はこれらの継続と細胞所見の画像解析を予定しており、最終的な結果を総合して乏突起膠腫の正確で再現性の高い診断基準の確立を目指す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 島田志保, 廣瀬隆則: "Specific glioneuronal element (oligodendroglia-like cells and mature nerve cells within the myxoid stromal background"病理と臨床. 21・1. 94-95 (2003)
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[Publications] 石澤圭介, 廣瀬隆則: "神経細胞膠腫、胎児性腫瘍"脳神経外科. 31・4. 450-455 (2003)
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[Publications] Shimada S, Ishizawa K, Hirose T: "Subependymoma of the spinal cord and review of the literature"Pathology International. 53. 169-173 (2003)