2004 Fiscal Year Annual Research Report
乏突起膠腫の診断精度向上に向けての基盤的研究とその展開
Project/Area Number |
14570159
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
廣瀬 隆則 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00181206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石澤 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10327025)
小森 隆司 東京都神経科学総合研究所, 臨床神経病理学, 副参事研究員 (90205526)
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Keywords | 脳腫瘍 / 乏突起膠腫 / FISH / Olig2 / 細胞診 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.FISH法による染色体欠失の解析 1p36に特異的なprobe (BAC clone RP11-219C24)を用いてFISH法による1p欠失の解析を継続して実施した。乏突起膠腫の症例数を増やし、さらに鑑別の対象としてpapillary glioneuronal tumor (PGNT)6例の検討を行った。その結果、乏突起膠腫の6割で1pの欠失が確認され、3割では欠失の可能性が推測された。一方、PGNTでは1pの欠失を見出せなかった。以上の結果から、乏突起膠腫の鑑別において、FISH法による1p欠失の解析は極めて有用な診断補助手段になりえることが示された。 2.免疫組織化学的解析 微小管関連物であるclass III beta-tubulinとMAP-2、乏突起膠細胞の分化に関与する転写因子Olig2についての免疫組織化学的解析を実施した。その結果、これらは必ずしも乏突起膠腫に特異的なものではなく、星細胞性腫瘍でもしばしば発現が認められるので、その評価には注意を要することが明らかとなった。 3.細胞学的解析 乏突起膠腫の細胞学的特徴を細胞診検体の画像解析によって検討した。乏突起膠腫の細胞核は、星細胞性腫瘍のそれに対して有意に正円に近いことが統計学的に示された。細胞突起の性状や血管の分布も両腫瘍では違いが見られた。乏突起膠腫の診断に際して、細胞診の活用が有効であると考えられた。 以上の解析結果から、乏突起膠腫の診断精度を上げるには、臨床的特徴とともに、種々の補助診断手段を用いて解析することが必要であると考えられた。現時点では治療選択に直接関わる1p/19q欠失の有無の検討が重要である。
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Research Products
(4 results)