2002 Fiscal Year Annual Research Report
CD30-NF-κBシグナル伝達系によるHodgkinリンパ腫分子病態の解析
Project/Area Number |
14570162
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
堀江 良一 北里大学, 医学部, 講師 (80229228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 俊樹 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (30182934)
東原 正明 北里大学, 医学部, 教授 (80165084)
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Keywords | Hodgkinリンパ腫 / Hodgkin、Reed-Sternberg細胞 / NF-κB / IL-13 / TRAF / NIK / IKK / signalosome |
Research Abstract |
Hodgkinリンパ腫(HL)は欧米ではごく一般的な悪性腫瘍であり、わが国でも頻度は少ないものの悪性リンパ腫の10-20%を占める。しかしHLは他の悪性腫瘍と比較すると非常に際立った特徴を有する。すなわち腫瘍細胞であるHodgkin、Reed-Sternberg(H-RS)細胞は実は全体の1-2%以下を占めるにず腫瘍のほとんどは炎症性性浸潤細胞からなる。CD30はTNFレセプターファミリーに属する分子でH-RS細胞表面に過剰発現しH-RS細胞のマーカーとして注目されてきた。数年分子レベルでのHLに対する理解が進み、H-RS細胞が胚中心B細胞に由来する腫瘍成分であること、転写因子NF-κBやIL-13の恒常的誘導が共通の分子基盤であることが示された。本研究はCD30とNF-κBというH-RS細胞に特徴的分子群がCD30過剰発現-NF-κBの恒常的活性化というオートクラインループを介してHLの病態に本質的に関わっている事を示すと同時にCD30自己活性化の下流でNF-κB恒常的活性化に関わるシグナル伝達分子群の分子機構をsignalosome形式という新しい概念により説明するものである。 通常CD30シグナルはCD30リガンドがCD30と結合することにより伝達しNF-κBの活性化を誘導するが、本研究でCD30は過剰発現状態では自己凝集により自己活性化されNF-κBの活性化を誘導することが明らかとなった。さらにH-RS細胞におけるNF-κBの構成的な活性化がCD30の過剰発現状態-自己凝集によるオートクライン機構によることを示した。またこのCD30-NF-κBの構成的な活性化機構がH-RS細胞の増殖やHLに特徴的であるIL-13の産生に関わることが示された。 H-RS細胞におけるCD30とNF-κBの間に位置するシグナル伝達分子群:TRAF, NIK, IKKの検討によりH-RS細胞ではCD30過剰発現による自己凝集によりCD30機能ドメインにTRAFを動員、活性化したTRAFは下流のシグナル伝達分子群とともに凝集体:signalosomeを形成、NF-κBの構成的活性を誘導していると考えられた。 次年度はCD30過剰発現機構の解明を目指している。これらを通して通して胚中心B細胞がH-RS細胞にトランスフォームしHLを発症して特徴的病態を形成する過程における分子基盤への理解が深まると考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Horie R, Higashihara M, Watanabe T: "The biology of Hodgkin's lymphpoma and CD30 signal transduction"Int J Hematol. 77. 37-47 (2003)
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[Publications] Hore R, Watanabe T, Ito K et al.: "Cytoplasmic aggregation of TRAF2 and TRAF5 proteins in Hodgkin's and Reed-Sternberg cells. 160:1647-1654.2002"Am J Pathol. 160. 1647-1654 (2002)
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[Publications] Horie R, Ito K, Morisita Y et al.: "Ligand independent signaling by overexpressed CD30 drives NF-κB activation in Hodgkin and Reed-Sternberg cells"Oncogene. 21. 2493-2503 (2002)