2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖発現の臨床・病理学的意義と機能解析:子宮体癌におけるDU-PAN-2(CA19-9の前駆体)発現に着目して
Project/Area Number |
14570166
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
安田 政実 東海大学, 医学部, 講師 (50242508)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 俊成 東海大学, 医学部, 助手 (90266437)
長村 義之 東海大学, 医学部, 教授 (10100992)
竹腰 進 東海大学, 医学部, 講師 (70216878)
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Keywords | 子宮体癌 / 糖鎖 / DU-PAN-2 / CA19-9 |
Research Abstract |
本補助金の交付に先立って我々は、子宮体部内膜腺癌(以下、体癌)においてDU-PAN-2が病理組織学的マーカーとして有用性が高く、かつ、同抗原が血清マーカーとしても臨床診断にも有用性があることを見出してきた。すなわち、体癌には特異的な腫瘍マーカーが存在しないなか、進行癌の追跡に寄与する可能性を示唆してきた。 本補助金が支給されたこの2年間、特に平成15年度では上記の現象を詳細に解析することで、以下に述べる発現動態が明らかにした。体癌においてDU-PAN-2、CA19-9が血清学的に術前に陽性となる症例は3ないし4例に1例の割合であり、頻度的には両者間で差はみられなかった。しかしながら、臨床病期(stage)と腫瘍の悪性度(分化度・grade)との関連で、DU-PAN-2、CA19-9とも病期が上がるにつれ、陽性率が高くなり、stage-IIIないしIVでは半数の症例でDU-PAN-2が陽性となることが判明した。また、分化度に照らしてそれらの血清値をみてみると、CA19-9は分化度が低くなるにつれ漸増するのに対して、DU-PAN-2はむしろ低下する傾向を示した。これらのことより、両糖鎖抗原は体癌では血清学的に異なった発現動態をとることが示唆され、その解釈として「DU-PAN-2は基本的には分化度の高い体癌で産生されやすい傾向があるものの、低分化になった場合でも腫瘍量の増大によってその低下が補われることで、陽性率はむしろ進行症例で高くなる」ことが挙げられる。この点、免疫組織学的には低分化癌でも著しく陽性所見が低下することはないとした以前の解析結果に、その証左を提供したことにもなる。 今後はさらに、特異的糖転移酵素α2-3 sialyltransferaseとα1-4 fucosyltransferaseの活性と、糖鎖抗原の発現様式の相関性にも着目して、体癌にとどまらず種々の悪性腫瘍における糖鎖の機能因子としての役割、なかんずく浸潤と転移の機構を明らかにしていきたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yasuda M, et al.: "Immunohistochemical expression of type-1 carbohydrate antigens : Comparison of DU-PAN-2 and CA19-9 on pathological and clinical aspects."Acta Histochem Cytochem. 36. 185-192 (2003)
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[Publications] Yasuda M, et al.: "Serum carbohydrate antigen elevations in endometrial adenocarcinomas : Characterization of DU-PAN-2 expression as a tumor marker."J Obstet Gynaecol Res. 30. 59-64 (2004)