2003 Fiscal Year Annual Research Report
組織マイクロアレイを用いた癌における遺伝子発現の研究
Project/Area Number |
14570167
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
向井 清 東京医科大学, 医学部, 教授 (20190837)
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Keywords | 組織マイクロアレイ / 免疫染色 / 固定条件 / ホルマリン固定 / パラフィン包埋 |
Research Abstract |
病理診断や形態研究に用いられる免疫組織化学染色においては検体の条件が染色結果に大きな影響を与える。特に通常の形態観察に用いられるホルマリン固定・パラフィン包埋組織を用いる場合は、組織の固定の影響が非常に大きい。そこで種々の条件で固定した組織のパラフィンンブロックからマイクロアレイを作製し、固定条件が免疫染色に与える影響について検討した。肝、膵、腎、心、肺、脾の組織をホルマリンにて1,2,4,8,16日間固定した組織をパラフィン包埋し、そのブロックから小組織片を採取して組織マイクロアレイブロックを作製した。この組織マイクロアレイブロックを用いて、ヴィメンチン,CD45RO, bcl-2,ケラチン,HLA-DR,β-カテニン、E-カドヘリンの免疫染色をSAB法にて行った。2日間固定した組織を標準として、染色性の低下の度合いを判定した。その結果、HLA-DRとCD45ROの染色性の低下は16日間固定組織においてもほとんど見られなかった。一方、E-カドヘリン、bcl-2、ケラチン、β-カテニン、ヴィメンチンの染色性は4ないし8日間固定組織から低下し、16日間固定組織では陽性像が得られなかった。8日間固定組織においては染色性の低下を発色反応の延長により回復することが可能であったが、16日間固定組織ではそのような回復は不可能であった。以上より、長期間のホルマリン固定は組織の抗原性を低下させることとその低下の度合いは抗原により異なることが判明した。組織マイクロアレイを用いることにより、染色結果の日間あるいは施行者間などのばらつきを考慮する必要なく、このような比較検討ができることが示された。 現在多数の乳癌症例の組織マイクロアレイを作成中で来年度にはこれらを用いて、乳癌の免疫組織学的予後因子の検討などを進める予定である。
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