2002 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子ATBF1およびZFH4の正常発達ラット中枢神経系における発現解析
Project/Area Number |
14570181
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川口 誠 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50204699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 宣夫 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (00170598)
笹原 正清 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (20154015)
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Keywords | ATBF1 / ホメオドメイン / ジンクフィンガー / ZFH4 / 中枢神経 |
Research Abstract |
ATBF1は、α-fetoprotein enhancerの結合蛋白として分離された転写因子であり、複数のzinc finger motifとhomeodomainをあわせ持つ事を特徴とするZFH/ATBF1転写因子ファミリーに属する。種々の細胞分化制御への関与が疑われており、mRNA発現の解析から、神経組織における役割を示唆する研究が蓄積されつつある。しかしながら、脳における役割は全く明らかにされていない。本年度の研究では、正常rat発達脳におけるATBF1発現を明らかにした。在胎12日(E12)胚から成熟rat脳を材料とした。作製した抗ATBF1抗体を用い、免疫組織化学により発現を解析した。陽性反応産物はE12では陰性であるが、E14以降、神経幹細胞、神経芽細胞あるいは神経細胞の核に局在した。E14では、視床、脳幹部、淡蒼球,嗅脳,扁桃,小脳半球等に対応する広範囲にわたるDifferentiating regionでATBF1陽性細胞が散在性に出現する。その後、視床、視床下部、線条体、中脳および脳幹部諸核の神経細胞で発現が持続するものと、淡蒼球,小脳半球、嗅球など発現がほとんど観察されない部位がみられた。E14で、視床領域吻側、下丘のNeuroepitheliumで強い発現があり、その後の胎児期および生後を通じて、対応する分化神経細胞に強い発現が連続性に観察された。E16を主として、線条体、視床に対応するsecondary germinal matrixで陽性神経芽細胞成分が観察された。松果体はE18を主として一過性にATBF1を発現した。その他、網膜の神経細胞や内耳の有毛細胞などの感覚器の細胞にも陽性所見がみられた。大脳皮質では、すべての発達段階で発現はみられなかった。成熟脳で視床および中脳、脳幹部を中心に神経細胞で弱い発現が持続した。今後さらに、ZFH/ATBF1転写因子ファミリーの神経組織における発現、他の実験事実との関連をさらに検討する予定である。
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