2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570199
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (40190904)
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Keywords | Traps1 / ノックアウトマウス / 軟骨分化 / 細胞外マトリックス |
Research Abstract |
ヒトの遺伝性疾患である毛髪・鼻・指節異形成症(TRPS I)の原因遺伝子であるTRPS1はポジショナル・クローニングによりヒトで始めてクローニングされた遺伝子であるためその機能および生理学的意義は不明である。よってTrps1の機能を検索するためノックアウトマウスを作製した。ホモ接合体Trps1-/-は外見上、頭が小さく手足が短かった。また鼻毛の発育が著しく低下していた。LacZ染色によってTrps1の発現様式を検索すると、胎齢の9.5日から発現が始まり骨端軟骨および毛嚢に強く発現していた。アリザリンレッド・アルシャンブルー染色で新生児マウスを観察した。頭部・顔面の骨は小さく、下顎骨には長さの減少と形の異常が見られた。ヘマトキシリン・エオジン染色による組織学的検索を行った結果、骨端軟骨において軟骨細胞の形態学的異常が見られた。骨端部から中央部にかけての軟骨細胞への分化が十分におこっておらず明瞭な増殖軟骨から肥大軟骨への層状構造が見られなかった。さらに電子顕微鏡により軟骨組織の微細構造を検索した。Trps1ノックアウトマウスでは軟骨細胞の異形性がみられ細胞質の構造の異常が見られた。また細胞外マトリックスにも異常が見られ、明瞭なコラーゲン線維が見られなかった。次に軟骨分化マーカーをプローブとした軟骨細胞のin situハイブリダイゼーションを行った。その結果、Trps1ノックアウトマウスでは前肥大細胞および肥大細胞層がワイルドタイプマウスに比較して著明に延長していることが見いだされた。
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