2002 Fiscal Year Annual Research Report
マウス肺線維症関連遺伝子epの機能と肺線維化の解析
Project/Area Number |
14570200
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
熊坂 利夫 順天堂大学, 医学部, 講師 (00286709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石堂 一巳 順天堂大学, 医学部, 講師 (40212906)
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Keywords | Hermansky-Pudlak症候群 / HPS-1 / ep遺伝子 / Pale ear / Cathepsin L / Lysosome / 免疫電顕 / 胎児線維芽細胞株 |
Research Abstract |
肺線維化関連遺伝子であるep遺伝子異常のあるPale earの肺線維化誘導実験において肺の線維化能が亢進していることを示した。これらを踏まえ、本年度研究は、Pale earの肺線維化反応の1.分子病理学的検討および2.生化学的検討を施行した。その結果、1.1)シリカの気道内投与による誘導線維化肺の1週および8週後のGene microarray解析により1週後マウス肺では、IL-1β,MIP-2,MIP-1β,TNF-αの初期炎症サイトカイン群がPale ear肺において約1/2から1/3に発現が減少しているの対し、8週後では線維化促進サイトカインであるTGF-β_2の発現が約1.8倍に亢進していた、2)Pale ear胎児より樹立した胎児線維芽細胞株のTGF-β_1刺激実験によりProcollagen III mRNA発現はコントロールと差がないが、Procollagen I mRNA発現は濃度依存性に増加し10ng/mlの濃度において約1.5倍の発現を示した。2.1)抑制因子としてはコラーゲン分解酵素のひとつであるcathepsin L酵素活性の生化学的測定およびFlowcytometoryによるマクロファージ細胞1個あたりのcathepsin抗原量により算定した比酵素活性は、Pale ear2ヶ月、17ヶ月令肺およびシリカ誘導線維化肺の全肺組織中cathepsin活性はage-matchおよび実験コントロールマウスと比較し明らかな減少し示し、2)肺胞洗浄により収集した肺胞マクロファージのcathepsin比活性も明らかにPale earにおいて減少し、3)免疫電顕による検討でlysosome上のcathepsin Lの存在はPale earにおいて平均2.7倍と有意に増加を示した。これらの結果より、Pale earの肺線維化促進因子として線維芽細胞に膠原線維産生を誘導するTGF-β_2の発現の亢進が認められたこととPale ear樹立線維芽細胞株の解析により肺線維症において優位に産生されるProcollagen I mRNAの発現亢進を認め、さらにコラーゲン分解酵素の活性減少があることにより、Pale earにおける肺線維化反応は線維化に関連する細胞群の機能異常が複合した結果であることが推定された。
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