2003 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーを用いた感染実験によるC型肝炎ウイルス遺伝子配列解析の研究
Project/Area Number |
14570203
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
杉谷 雅彦 日本大学, 医学部, 助教授 (40187654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SHEIKH Aleemuzzaman 日本大学, 医学部, 助手 (10277436)
森山 光彦 日本大学, 医学部, 助教授 (50191060)
阿部 賢治 国立感染症研究所, 感染病理部, 主任研究官 (60130415)
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Keywords | Hepatitis C virus (HCV) / Hypervariable region-1 / Chimpanzee / 再感染実験 / HCV cloning / HCV抗体 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の再感染を起こしたchimpanzee no.34とno.65の初回、2回目、3回目接種後の急性期血清、及び各接種材料を用いて、感染HCVの高変異領域hypervariable region-1(HVR1)の核酸・アミノ酸配列を解析した。初回の接種材料からpick upされたcloneはmajor typeとminor typeに分けられ、それぞれ83%,17%の割合であった。一方、2回目と3回目の接種材料及びchimpanzee no.34とno.65の各接種後の急性期血清におけるcloneはほとんどが初回接種材料cloneのmajor typeと同一であった。初回接種材料のminor type cloneは2回目と3回目の接種材料及びchimpanzee no.34とno.65の各接種後の急性期血清中には認められなかった。 次にHCVの非構造領域、core領域、HVR-1に対する抗体価を検討した。非構造領域、core領域に関してはKCL,JCC抗体(科血研)を測定し、HVR-1に対する抗体は合成peptideを用いたELISA系を作製し、ALT高値のC型肝炎患者血清を陽性コントロールに、HCV非感染chimpanzee血清を陰性コントロールに用いて測定した。その結果、chimpanzee no.34とno.65では、KCL抗体titerは2回目のHCV接種後高値を示しそのまま持続し、JCC抗体titerは2回目及び3回目のHCV接種後、それぞれ上昇を示した。一方、HVR-1に対する抗体はchimpanzee no.34とno.65の各接種前後の血清で低値を示していた。 これらの実験より、同一アミノ酸配列のHCVによる感染が同一個体に3度成立したことが確かめられ、さらに血中抗体の検索よりHCV感染の際の免疫応答の複雑さが示された。
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