2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患に於ける蛋白質脱イミノ化の分子病理学的解析
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14570210
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
石神 昭人 東京都老人総合研究所, 加齢臓器障害研究グループ, 研究員 (50270658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅賀 宏昭 東京都老人総合研究所, 遺伝子情報研究グループ, 研究員 (80231877)
大沢 多加子 東京都老人総合研究所, 遺伝子情報研究グループ, 主任研究員 (20073017)
丸山 直記 東京都老人総合研究所, 加齢臓器障害研究グループ, 研究部長 (00115940)
半田 節子 東京都老人総合研究所, 加齢臓器障害研究グループ, 研究助手
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Keywords | 神経変性疾患 / アルツハイマー病 / 蛋白質脱イミノ化酵素 / 脱イミノ化蛋白質 / ミエリン塩基性蛋白質 / チュブリン / 老化 / グリア細胞 |
Research Abstract |
蛋白質脱イミノ化酵素(ペプチジルアルギニンデイミナーゼ;PAD)は、タンパク質中のアルギニン残基をシトルリン残基に脱イミノ化する酵素である。この変換は蛋白質の構造に著しい変化をもたらす。生体内には4種類のアイソフォーム(I, II, III, IV型)が存在し、活性化にカルシウムイオンを必要とする。特に、II型PADは脳全体に広く分布しており、他型PADは検出されない。また、その多くはグリア細胞に不活性状態で存在している。最近、神経細胞にもII型PADの存在を確認した。本研究課題では、神経変性疾患に於ける脱イミノ化蛋白質生成、PAD活性化の解析を行い疾患発症に於けるPADの関与を明らかにする。今年度、次のような研究結果を得ている。 (1)アルツハイマー病の患者脳に於ける脱イミノ化蛋白質の生成、PADの発現を免疫組織染色により調べた。その結果、グリア細胞で、脱イミノ化蛋白質が強染された。また、その一部は神経細胞にも波及していた。一方、正常脳では、脱イミノ化蛋白質は検出されなかった。このように、アルツハイマー病の患者脳では、PADの異常な活性化が起きていることは明白である。 (2)プロテオーム解析により、アルツハイマー病の患者脳に存在する脱イミノ化蛋白質は、ミエリン塩基性蛋白質(MBP)と複数の未同定蛋白質であることを明らかにした。特異抗体を用いた解析から、この内の一つは、β-チュブリンであった。 (3)II型PADノックアウトマウス作製のための遺伝子コンストラクトが完成した。 神経変性疾患の患者脳での脱イミノ化蛋白質の動態やその分子の同定を行い、今年度、期待通りの結果を得ることができた。今後はこの研究成果を踏まえ、神経変性疾患の患者脳に於けるPADの活性化機構を明らかにし、疾患発症機序を解明する。神経変性疾患に於けるPADの関与は、明白である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Asaga H, Akiyama K, Ohsawa T, Ishigami A: "Increased and type II-specific expression of peptidylarginine deiminase in activated microglia but not hyperplastic astrocytes following kainic acid-evoked neurodegeneration in the rat brain"Neurosci. Lett.. 326. 129-132 (2002)
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[Publications] Ishigami A, Ohsawa T, Asaga H, Akiyama K, Kuramoto M, Maruyama N: "Human peptidylarginine deiminase type II : Molecular cloning, gene organization and expression in human skin"Arch. Biochem. Biophys.. 407. 25-31 (2002)
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[Publications] Ishigami A, Asaga H, Ohsawa T, Akiyama K, Maruyama N: "Protein deimination and peptidylarginine deiminase expression during cornification of rat epidermal keratinocytes"Biomed. Res.. 23. 145-151 (2002)