2004 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア感染におけるオステオポンチンの発現とその病態的意義に関する研究
Project/Area Number |
14570225
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
前野 芳正 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教授 (70131191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 潤 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (70319268)
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Keywords | オステオポンチン / 熱帯熱マラリア / 脳マラリア / グリア細胞 / マクロファージ / TNF-alha / ベトナム / マラリアグラニュローマ |
Research Abstract |
我々は、これまでマラリア感染における感染防御にはT helper 1 (Th1)系サイトカイン(IL-12およびIFN-γ)の発現が必須とされている。これらのサイトカインの発現にオステオポンチン(osteopontin, OPN)が必須であり、OPN欠損マウスでは感染を防御すことができなかった。このようにOPNとマラリア感染防御についてマウスモデルおよびヒト感染例で証明をしてきた。一方、OPNは感染防御機能以外に肉芽形成に関与することが報告されてきた。今年度は、脳マラリア患者の脳組織内で見られるmalaria granulomaにOPNが関与しているか検討を加えた。脳マラリアで死亡した患者の脳組織を免疫組織化学的手法でOPNを検出すると、マラリア原虫感染赤血球sequestrationが見られる血管周囲およびmalaria granulomaにOPN陽性細胞の特異的局在が認められた。これらOPN陽性細胞の同定を行ったところ、OPN陽性細胞は脳組織内に浸潤したマクロファージおよびグリア細胞であった。次に、グリア細胞におけるOPN発現機構を検討した。その結果、マラリア感染による脳関門障害部位からOPN陽性末梢マクロファージ(含 単球)および末梢血中のTNF-αが脳内に浸潤し、浸潤したマクロファージから産生されるTNF-αおよび末梢血より浸潤したTNF-αによりグリア細胞が活性化し、OPNを発現していることが認められた。また、OPNを発現しているグリア細胞は、IL-12あるいはIFN-γを発現し、これらのサイトカインがグリア細胞の活性化を誘導し、OPN発現に寄与していることが認められた。以上、OPNは感染に対し、防御という面の他に、脳マラリアにおけるmalaria granuloma形成の病因となっていることが示唆された。(現在Am J Trop Med Hygに投稿中)
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Research Products
(1 results)