2002 Fiscal Year Annual Research Report
リケッチア感染によるgp91^<phox>遺伝子発現の修飾機構の解析
Project/Area Number |
14570240
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 三千男 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (30091276)
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Keywords | gp91^<phox> / HGE / リケッチア / 食細胞 / 分化 |
Research Abstract |
リケッチア感染においては食細胞が主な標的になっており、菌はその中で増殖する.食細胞は本来,寄生細菌を殺す機能をもっており,リケッチアには一見最も住みにくい環境である.寄生機構の一つにリケッチアが殺菌機構で最も重要な活性酸素産生構成成分のgp91^<phox>遺伝子の発現を阻害していることが示され,我々の予備実験でも部分的に確認された.gp91^<phox>遺伝子特異的であることを確かめる過程で,Human Granulocytic Ehlrichiosis [HGE] agent感染では明らかにgp91^<phox>遺伝子の発現が抑制されるにもかかわらず,他の構成成分の遺伝子の発現は高くなることが示された.その総合結果としての活性酸素の産生は,従来の報告とは逆に明らかに上昇していた.リケッチアの種類をCoxiella burnettiやHuman Monocytic Ehrlichiosis [HME] agent [Ehlrichia chaffeensis]に変えても基本的に同様の結果であった.これらの結果を踏まえて,本研究ではgp91^<phox>の発現を主題にしつつも,幅広く他の活性酸素産生系構成成分の発現をもreal time RT-PCRで厳密に定量している.米国からの報告との矛盾を明らかにし,独自の展開を目指して,目下以下の点の解析を進めている.すなわち,リケッチア,特にHGEの病態から考えて寿命が極端に短い成熟好中球ではなく未熟骨髄球こそがHGE agentの本来の標的と考えると,リケッチアの感染が幼若骨髄細胞株の分化におけるgp91^<phox>発現および他の構成成分の発現のアンバランスをもたらしている可能性が高いので,CD14,CD16等の発現を指標にこれらのmRNAを網羅的に定量している次第である.
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