2002 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラリピドAのマクロファージ活性化における種特異性を支配する分子機構の解明
Project/Area Number |
14570256
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
棚元 憲一 国立医薬品食品衛生研究所, 部長 (60107430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 貴弘 国立医薬品食品衛生研究所, 研究員 (30321855)
室井 正志 国立医薬品食品衛生研究所, 室長 (70311389)
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Keywords | エンドトキシン / LPS / 動物種特異性 / TLR4 / MD2 / サルモネラリピドA |
Research Abstract |
サルモネラリピドAの動物種特異的作用の分子機構:サルモネラ由来のリピドAがヒトマクロファージ細胞に対する場合と異なり、マウスマクロファージ細胞では活性を示さないという動物種特異的反応を示すことを見出しているが、本研究では、さらにNF-κB依存性のレポーター活性のレベルの種特異的反応を検討した。分化させたヒト由来のマクロファージ細胞株THP-1では、大腸菌のリピドAが10ng/mlという低濃度から強い活性を示すのに対し、サルモネラのリピドAは1μg/mlという高濃度を用いてもほとんど活性を示さなかった。大腸菌型及びサルモネラ型の合成リピドAを用いた場合も天然のものと類似の結果を得た。一方、マウスのマクロファージ細胞株RAW264では、天然由来、合成いずれのサルモネラのリピドAも大腸菌リピドAと同様強い活性を示した。このようにレポーター活性のレベルでもサルモネラリピドAの動物種特異的反応を確認した。このサルモネラリピドAの動物種特異的反応がLPSの機能的受容体とされるCD14/TLR4/MD-2複合体複合蛋白のうち、どの蛋白に起因するものかを調べた、ヒトマクロファージ細胞THP-1はサルモネラ型リピドA(516)では30ng/mlの高濃度でも全く活性の上昇は見られないが、マウス由来のCD14/TLR4/MD-2を発現させると明らかに応答するようになった。さらに、CD14/TLR4/MD-2の3者を1つずつ人由来のもの置換したとき、MD-2置換により516に対する応答性は最も低く30%程度に減少した。この結果から、サルモネラリピドAの動物種特異性は、MD-2が主因であることを明らかにした。 サルモネラLPSの活性発現における多糖部分の重要性:サルモネラリピドAがヒト細胞で活性を示さなかったことから、サルモネラLPSの多糖部分の重要性について検討した。THP-1細胞およびヒトのCD14/TLR4/MD-2を発現させた293細胞では、大腸菌の場合と異なり、サルモネラLPSから多糖部分を除いたリピドAは活性が1000倍以上低下した。一方、RAW264細胞およびマウスCD14/TLR4/MD-2を発現させた293細胞では、大腸菌のLPS、リピドA、およびサルモネラLPSがほぼ同等の活性を示し、サルモネラリピドAもこれらと同様の強い活性を示した。また、サルモネラのRe変異株由来のLPSはTHP-1細胞、および、ヒトまたはマウスのCD14/TLR4/MD-2を発現させた293細胞のいずれにおいても強い活性を示したが、そのリピドAはほとんど活性を示さなかった。大腸菌型およびサルモネラ型の化学合成リピドA(506、516)でも天然由来のリピドAと同様の結果が得られた。以上より、サルモネラのLPSでは、ヒトのTLR4を介するNF-κBの活性化に糖鎖部分が不可欠であることを明らかにした。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] Takaekida, K: "Quantitative analysis of Prion protein by immunoblotting"J. Health Sci.. 48(3). 288-291 (2002)
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[Publications] Kikuchi Y: "G1-depenndent prion protein exprssionin human glioblastoma cell line T98G"Biol. Pharm. Bull.. 25(6). 728-733 (2002)
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[Publications] 武木田薫: "ELISAによる食品試料中のプリオン蛋白質検出に関する検討"食品衛生学雑誌. 43(3). 173-177 (2002)
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[Publications] Muroi M: "MD-2, a novel accessory molecule, is involved in species-specific actions of Salmonella lipid A"Infect. Immun.. 70(7). 3546-3550 (2002)
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[Publications] Muroi M, Tanamoto K: "Polysaccharide regions is indispensable for Salmonella lipopolysaccharide to activate NF-κB through human Toll-like receptor"Infect. Immun.. 70(11). 6043-6047 (2002)
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[Publications] Muroi M: "Regions of the mouse CD14 molecule required for Toll-like receptor 2-and 4-mediated activation of NF-κB"J. Biol. Chem.. 227(44). 42372-42379 (2002)
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[Publications] 佐々木次雄: "遺伝子解析による微生物の迅速同定法"医薬品研究. 33(12). 763-769 (2002)
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[Publications] 河村葉子: "ポリ塩化ビニル中のフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)及びフタル酸ジイソノニル試験法"日本食品化学会誌. 9(3). 101-106 (2002)
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[Publications] 棚元憲一: "局方微生物試験法の現状、国際調和と将来展望-第14改正日本薬局方を中心として-"Bokin Bobai. 31(1). 19-25 (2003)
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[Publications] Ohnishi T: "N-linled glycosylation critical to the Toll-like receptor 4 function require the presence of MD-2"Clin. Diagn. Lab. Immunol.. (in press). (2003)
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[Publications] Sakai A: "Overexpression of NP95 mRNA by tumor promoters in the promotion phase of a two-stage BALB/3T3 cell transformation assay"Biol. Pharm. Bull.. 26(3). 347-351 (2003)
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[Publications] 大西貴弘: "エンドトキシンの情報伝達のおけるMD-2分子状のグリコシル化の役割 エンドトキシン研究5"菜根出版. 50-55 (2002)
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[Publications] 室井正志: "サルモネラリピドAの動物種特異的反応の分子機構 エンドトキシン研究5"菜根出版. 60-66 (2002)