2002 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1の感染、組み込みと腫瘍原性に関する解析
Project/Area Number |
14570260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三輪 正直 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (20012750)
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Keywords | HTLV-1 / セルフリーHTLV-1 / ATL / レセプター / 組み込み / マウスモデル / 挿入変異 |
Research Abstract |
我々は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)を産生する細胞を新生仔マウスに投与することにより、HTLV-1がマウスに感染し、18ヵ月間にわたってプロウイルスが検出されることを証明してきた。しかし、効率のよいセルフリーHTLV-1感染系がないために、ウイルスの感染や増殖過程、感染細胞との相互作用などはまだ良く分かっていない。最近私たちはセルフリーのウイルスの活性を保って濃縮することに成功し、効率の良い感染系を樹立した。この感染系を用いて、従来感染効率が極めて悪いとされていたマウス細胞にも実際には効率良くHTLV-1ウイルスが侵入することを明らかにし論文発表した(Jpn. J. Cancer Res.93:760-766,2002)。 また、ウイルスや標的細胞表面の糖鎖修飾がセルフリーHTLV-1の感染へ与える影響について検討した。Arthrobacter ureafaciens菌由来のneuramimdaseを用いて、セルフリーHTLV-1を処理すると、ウイルスの標的細胞への吸着や侵入は約10倍増加することが見られ、感染した細胞中のウイルスDNAも約3倍増加した。またneurammidase処理はHTLV-1感染した細胞と感染していない細胞との細胞融合を促進することも見られた。Neuraminidaseを産生する微生物の感染はHTLV-1の感染や増殖を促進することが示唆された。これらの結果をまとめて、投稿中である。 ATLの発症に関しては、従来は、吉田らにより精力的にウイルス遺伝子のTaxタンパク質のトランスに働く転写促進作用が調べられてきた。一方、HTLV-1のATLにおける挿入変異の可能性を調べるため、我々は、HTLV-1が組み込まれたゲノム上の位置を感度良く検出するためのInverse PCR法を開発した。これを用いて、ATL細胞について組み込み部位を調べたところ、幾つかの増殖関連遺伝子と考えられる部位に挿入されていることが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sun B., ef al.: "Cell-free human T-cell leukemia virus type 1 adsorbs and enters efficiently into mouse cells"Jpn. J. Cancer Res.. 93. 760-766 (2002)
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[Publications] Kawamoto, I., et al.: "Expression of cyclooxygenase-2 in the subserosal layer correlates with postsurgical prognosis of pathological tumor stage 2 carconoma of the gallbladder"Int. J. Cancer. 98. 427-434 (2002)
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[Publications] Uchida, M., et al.: "Overexpression of poly (ADP-ribose) polymerase disrupts organization of cytoskeletal F-actin and tissure polarity in Drosophila"J. Biol. Chem.. 227. 6696-6702 (2002)
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[Publications] Asano I., et al.: "Expressions of cyclooxygenase-2 and prostaglandin 3-receptors in carcinoma of the gallbladder : crucial role of arachidonate metabolism in tumor growth and progression"Clin. Cancer Res.. 8. 1157-1157 (2002)
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[Publications] Kudoh K., et al.: "Inactivation of p16/CDKN2 and p15/MTS2 is associated with prognosis and response to chemotherapy in ovarian cancer"Int. J. Cancer. 99. 579-582 (2002)
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[Publications] Kanai M., et al.: "Involvement of poly (ADP-ribose) polymerase-1 and poly (ADP-ribosyl) ation in regulation of centrosome function"Mol. Cell. Biol.. (In press). (2003)