2003 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1の感染、組み込みと腫瘍原性に関する解析
Project/Area Number |
14570260
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三輪 正直 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (20012750)
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Keywords | HTLV-1 / マウスモデル / ウイルス量 / 遺伝的背景 / ATL / 組み込み / 挿入変異 / Inverse PCR |
Research Abstract |
我々は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の産生細胞をマウスに投与することにより、HTLV-1がマウスに感染し、ヒトにおけるHTLV-1の良い感染モデルであることを示してきた。 一方、ヒトのHTLV-1キャリアーにおいては,HTLV-1のウイルス量が多いヒトと少ないヒトがあり、これがどのような機構によるのかが不明である。われわれは、遺伝的背景が均一な、各種のマウスの系統を用いることにより、HTLV-1感染後のウイルス量は,遺伝的背景により大きく異なることが分かった。また、これは,MHCだけではないことも明らかとなり、これらの結果を論文発表した(Biochem Biophys Res Commun 2003)。恐らく、ヒトにおいてもこれらの遺伝的な背景が、感染者のHTLV-1量に関係していることが示唆された。 また、ATLの発症メカニズムに関しては、従来より、吉田らの他の研究グループによりウイルス遺伝子のTaxタンパク質のトランスに働く転写促進作用が調べられてきた。一方、HTLV-1のATLにおける挿入変異の可能性を調べるため、我々は、HTLV-1が組み込まれたゲノム上の位置を感度良く検出するためのInverse PCR法を開発した。これを用いて、23例のATL患者に関する25箇所のHTLV-1挿入部位をゲノム上で調べたところ、52%が、遺伝子内に挿入されており、ゲノムへのランダムな組込みと仮定した場合よりも有意であることが分かった。また、組みこまれた遺伝子の中には、増殖関連遺伝子と考えられるものがあることが分かった。この結果は現在、論文として印刷中である(Cancer Science 2004)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nitta, T., et al.: "The Genetic background as a determinant of human T-cell leukemia virus type 1 proviral load"Biochem.Biophys.Res.Commun.. (In press). (2004)
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[Publications] Hanai, S., et al.: "Integration of human T-cell leukemia virus type 1 in genes of leukemia cells of patients with adult T-cell leukemia"Cancer Science. (In press). (2004)
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[Publications] Hanai, S., et al.: "Loss of poly(ADP-ribose) glycohydrolase causes progressive neurodegeneration in Drosophila melanogaster"Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 101. 82-86 (2004)
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[Publications] Sugihara, E., et al.: "Enhanced expression of MYCN leads to centrosome hyperamplification after DNA damage in neuroblastoma cells"Oncogene. 23. 1005-1009 (2003)
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[Publications] Ohashi, S., et al.: "Subcellular localization of poly(ADP-Ribose) glycohydrolase in mammalian cells"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 307. 915-921 (2003)
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[Publications] Kanal, M., et al.: "Involvement of poly(ADP-ribose)polymerase-1 and poly(ADP-ribosyl)ation in regulation of centrosome function"Mol.Cell Biol.. 23. 2451-2462 (2003)