2003 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペス感染における粘膜より神経への伝播経路の解明
Project/Area Number |
14570265
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岩崎 琢也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (90146027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐多 徹太郎 国立感染症研究所, 感染病理部, 部長 (00162397)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 中枢神経組織 / 粘膜感染 / 感染病理 / Schwann細胞 / 前初期蛋白 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルスの1型ならびに2型と水痘帯状疱疹ウイルス等のαヘルペスウイルスは初感染時に粘膜あるいは皮膚の扁平上皮に侵入し、その後、上皮下の結合織内あるいは上皮内に存在する末梢神経終末より神経線維に侵入し、上行することにより神経細胞のsomaに、さらに中枢神経組織に達し、次なる神経細胞あるいは膠細胞に感染が拡大する。このウイルスの侵入に対して宿主はこの移行過程において自然・獲得免疫によりウイルスの増殖を抑制し、ウイルスは神経細胞内で潜伏状態に移行すると考えられている。とくに単純ヘルペスウイルス感染においては非外傷(擦過)性の伝播様式には未解決な点が多い。本研究ではHSV-2のマウス膣粘膜ならびに経角膜感染モデルを用いて、粘膜より末梢神経さらには中枢神経組織に到達する経路、さらにはその伝播における宿主因子を解析し、この伝播を制御する宿主機構を解明することを目的とした研究を行った。 解析のポイントは、表皮・角膜の上皮におけるウイルス増殖、上皮下へのウイルス侵入、上皮下に侵入したウイルスの末梢神経への侵入の3段階の時期におけるウイルス感染細胞を同定し、感染細胞に対する宿主の細胞応答を解析した。昨年度行ったHSV-2の種々の株を非外傷性に経膣的ならびに経角膜的に感染させたBALB/cマウスについて経時的に組織学的解析を行った。同時に名大西山らが樹立したUS3欠損HSV-2ならびにそのrevertantも感染させたマウスも同様に解析した。感染初期の細胞を含めたウイルス増殖を開始していない細胞を同定するために前初期遺伝子us1の産物US1を認識する抗血清を用いてマウス感染組織において早期の感染細胞を免疫組織学的解析を行った。核内にのみUS1抗原陽性となる感染早期の細胞の存在を検出することに成功した。また従来のウイルス構成蛋白を認識する抗体では認識できなかったSchwann細胞あるいは神経節細胞周囲に存在する衛生細胞の核も陽性となった。さらに脊髄の後策のSchwann細胞の核が陽性であったことはHSV2感染における髄膜炎の発症病理上重要な所見である。さらにSchwann細胞ならびに衛生細胞では後期抗原が検出できていないことより、これらの細胞ではウイルスが細胞破壊性に感染することが少ないことと良く合致する。併せてポリオウイルスを粘膜感染させ、その感染伝播ルートと比較も行った。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nagata N, Iwasaki T, Ami Y, Sato Y, Hatano I, Harashima A, Suzaki Y, Yoshii T, Hashikawa T, Sata T, Horiuchi Y, Koike S, Kurata T, Nomoto A.: "A poliomyelitis model through mucosal infection in transgenic mice bearing human poliovirus receptor, TgPVR21"Virology. in press. (2004)