2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14570267
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂口 末廣 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60274635)
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Keywords | プリオン / プリオン蛋白 / 結合分子 / 受容体 / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
申請者は、プリオン受容体の構成分子を同定するために、まず正常型プリオン蛋白(PrP^C)と会合する分子の同定を試みることにした。alkaline phosphatase(AP)とPrP^Cを融合させたAP-PrP融合蛋白を、培養細胞を用いて大量に作製し、神経細胞、繊維芽細胞、上皮細胞などの様々な培養細胞と反応させた。その結果、全ての細胞で強い反応が観察され、PrP^Cとの結合分子が様々な細胞で発現していることが明らかとなった。 さらに申請者は、PrP^Cのどの領域がこの結合に関与しているのかを検討するために、様々なPrP^Cの領域を欠損するAPとの融合蛋白を作製した。AP-PrP23-120はPrP^CのN末半分のアミノ酸23-120までの融合蛋白、AP-PrP23-120ΔORはAP-PrP23-120からPrPに特異的に存在するオクタペプチド・リピート(OR)を欠損する融合蛋白、AP-PrP23-90はAP-PrP23-120からC末領域を欠損する融合蛋白、AP-PrP50-120はAP-PrP23-120からN末領域を欠損する融合蛋白、そしてAP-PrP121-231はPrP^CのC末領域とAPとの融合蛋白である。これらを、神経細胞と反応させ、同様な染色を行ってみた。大変興味深いことに、神経細胞は球状の高次構造をとるC末領域との融合蛋白では染色されず、特異的な構造を有しないN末領域との融合蛋白にて染色された。さらに、PrPにのみ存在するN末領域のオクタペプチド・リピート(OR)を欠損するAP-PrP23-120ΔORでも同様な染色が観察された。しかし、AP-PrP23-90とAP-PrP50-120では、反応が認められなかった。つまり、これらの結果は、PrP^Cの結合領域はN末に存在し、ORを除いた23-50と90-120の二つの領域が結合に必要であることを示した。
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