2002 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1エンベロープ蛋白のウイルス粒子への取り込み機構の解明
Project/Area Number |
14570268
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
村上 努 琉球大学, 医学部, 助教授 (50336385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 篤司 琉球大学, 医学部, 助手 (10242778)
田中 勇悦 琉球大学, 医学部, 教授 (30163588)
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Keywords | HIV-1 / Env蛋白 / Gag蛋白 / ウイルスの吸着・侵入 / 膜融合 / Gagプロセッシング / プロテアーゼ |
Research Abstract |
14年度の研究実施計画2)HIV-1 Env/Gagの直接的相互作用を感染細胞レベルで検出する生化学的実験系に関連して,HIV-1 Env/Gagの直接的相互作用とウイルスの吸着・侵入過程との関連について検討した。すなわち,標的細胞への吸着・侵入段階におけるHIV-1Gag蛋白のプロセッシング,Env蛋白gp41細胞質内ドメイン(gp41CT)の役割の解明のため,HIV-1プロテアーゼ欠損変異株,gp41CT変異株を用いて標的細胞との融合過程への影響を検討した。その結果,1)HIV-1と標的細胞との融合過程にGag蛋白のプロセッシングが必要なこと,2)Gag蛋白前駆体との相互作用ができなくなったgp41CT変異株では,Gag蛋白のプロセッシングなしでもウイルスと細胞との膜融合が起こることを明らかにした。以上の結果は,1)gp41CTとGag蛋白前駆体との相互作用がEnv蛋白の高次構造を膜融合不活性にし,2)その抑制がGag蛋白のプロセッシングまたはgp41CT変異株で解除されることを示唆している。今後の予定は,1)より厳密な意味でのウイルス-細胞融合アッセイ系で今回観察した現象を確認すること,2)gp41CTとGag前駆体との相互作用による膜融合の抑制とGag蛋白のプロセッシングによる抑制解除がHIV-1の標的細胞への吸着・侵入のどの段階で起こっているかを明らかにすることなどである。さらに,これらの実験で得られた知見を感染細胞レベルでのHIV-1 Env/Gagの直接的相互作用の検出につなげていく予定である。
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