2002 Fiscal Year Annual Research Report
エコトロピック・マウスレトロウイルス受容体蛋白の発現制御機構に関する研究
Project/Area Number |
14570272
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
増田 道明 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80199702)
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Keywords | レトロウイルス / 同種指向性 / 受容体 / 細胞内局在 / 細胞内輸送 / ウイルス感染 |
Research Abstract |
同種指向性(エコトロピック)のマウスレトロウイルスの感染に際してはカチオン型アミノ酸の輸送体であるCAT1が受容体となることが知られている。CAT1は14回膜貫通型の細胞表面蛋白であり、その第3細胞外ドメインがウイルス受容体機能に重要であることが知られている。また、マウスCAT1(mCAT1)のC末に緑色蛍光蛋白(GFP)標識を行った融合蛋白(mCAT1-GFP)がゴルジ体を経て細胞表面に発現され、エコトロピック・マウスレトロウイルスの受容体として機能することが報告されている(Masuda, et al.,1999)。一方、CAT1蛋白の発現様式や細胞内輸送の詳細については不明の点が多い。これらについて解明するため、今年度はイヌの腎臓由来極性上皮細胞株MDCKにmCAT1-GFPの遺伝子を導入して安定発現株を単離し、その解析を行った。その結果、(1)CAT1は極性上皮細胞の主にbasolateral表面に発現され、apical表面にはあまり発現されないこと、(2)免疫染色後のレーザー共焦点顕微鏡観察によりCAT1は細胞内輸送に関与するアダプター複合体であるAP1やAP2と共局在すること、(3)エコトロピック・マウスレトロウイルス感染後はウイルス外被蛋白がapical表面に発現し、CAT1の細胞表面発現量は減少すること、(4)ウイルス感染後はCAT1とAP3の共局在が認められるようになることが明らかとなった。さらに、mCAT1-GFP発現用のアデノウイルスベクターの構築にも成功し、これにより、種々の細胞におけるCAT1の発現様式やその制御機構の解析が進められる予定である。次年度はこれらの知見に基づいて、放射性アミノ酸を用いたパルス・チェイス標識後の免疫沈降法やウェスタン法などにより、CAT1とアダプター複合体などの蛋白-蛋白相互作用をより詳細に解析する予定である。
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