2002 Fiscal Year Annual Research Report
メモリー表現型T細胞を過剰に持つ突然変異マウスからの責任遺伝子単離とその機能解析
Project/Area Number |
14570275
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 正晃 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00250514)
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Keywords | メモリー表現型T細胞 / 突然変異マウス / 責任遺伝子 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
本研究費で解析している突然変異マウス、BL10#4は正常C57BL10コロニーから末梢血中に過剰のメモリー表現型T細胞を持つBL10#4である。このマウスの形質は常染色体劣勢遺伝し、1遺伝子で規定されること、血球系分化に異常が認められ、それぞれプレTおよびプレB細胞受容体信号が必要な時期で重度な分化障害が有ること、程度の貧血が認められ、抗赤血球抗体の検出できる個体が有ること、骨髄移植の実験から変異表現型は環境因子では無く、骨髄細胞自体に由来することが判明した。本年度、BL10#4とNZBマウスをかけ合わせて、100匹以上の形質陽性および陰性F2マウスを得ることができた。それらのF2マウスの肝臓からDNAを抽出し、BL10とNZBで長さの異なるMITマーカーを用いてSSLP法にてBLlO#4の形質の責任遺伝子の存在を解析した。責任遺伝子の存在する1cM程度の領域を2番染色体に同定することができた。また、セレラ社のデータベースを用いてこの領域を解析したととろ、約45個の遺伝子が存在していることが判明した。 このマウスは、末梢血中に過剰のメモリー表現型T細胞を持つことで申請者に発見されたが、その後、自己免疫疾患様症状として肝臓および膵島にリンパ球浸潤を持つこともわかった。ヒトの1型糖尿病を含めた自己免疫疾患は多因子疾患であるが、それらの発症に関連する遺伝的要因の一つにこのマウスの責任遺伝子が成りうる可能性が高い。また、BL10#4マウスではT細胞の分化がβ選択の時期に強く障害されているので末梢のT細胞の数を増加させるために、自己反応性のT細胞が末梢に存在する可能性が有る。同定した2番染色体の1cMの領域には既知の分子の変異マウスで似た表現型を持つものも存在しない。このことはBL10#4での変異遺伝子は新規の遺伝子であることが強く示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Bradley J.Swanson, Masaaki Murakami, Thomas C.Mitchell1, John Kappler, Philippa Marrack: "RANTES production by memory phenotype T cells is controlled by a posttranscriptional, TCR dependent process"Immunity. 17・5. 605-615 (2002)
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[Publications] Masaaki Murakmi, Akemi Sakamoto, Jeremy Bender, John Kappler, Phillipa Marrack: "CD25+CD4+ T cells contribute to the control of memory CD8+ T cells"Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.. 99. 8832-8837 (2002)