2002 Fiscal Year Annual Research Report
新規カドヘリン分子の機能解析を中心とした粘膜免疫系の新しい分子的枠組みの研究
Project/Area Number |
14570290
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大西 和夫 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (90169011)
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Keywords | カドヘリン / 粘膜免疫 / リンパ球ホーミング / プレB細胞レセプター |
Research Abstract |
BILLカドヘリンはリンパ球が発現するカドヘリン・スーパーファミリー分子として初めて同定されたもので、腸、鼻腔、肺などの粘膜組織に集中して発現していることから、粘膜免疫系の機能的枠組みに関与する分子であると考えている。このBILLカドヘリン遺伝子を欠損したノックアウトマウスを作成し、免疫系組織の形成および免疫機能の解析を進めている。(1)粘膜免疫組織の異常:ノックアウトマウスの腸、鼻腔、肺の形態形成には顕著な異常は認められなかったが、腸管においてはパイエル板の数と大きさが減少していた。小腸の免疫組織学的検討から、パイエル板B細胞領域の周辺部と中心部にBILLカドヘリンを発現する細胞が局在した。これらの細胞がどのリンパ球亜群のものか解析中である。また、ドームを含む小腸上皮全域にも非常に強い発現が見られたことから、粘膜指向性ワクチンのターゲット分子となることを期待して、ex vivoの実験系を構築し検討中である。(2)粘膜免疫応答:抗原としてKLH、アジュバントとしてCholera toxinを用い、IgA応答を正常マウスとノックアウトマウスで比較した。ノックアウトマウスでの応答がやや高い傾向があったが、現在、抗原、アジュバントを変えて、実験系の最適化を行っている。(3)粘膜組織へのホーミング:CFSEでラベルした正常マウスのパイエル板リンパ球とPKH26でラベルしたノックアウトマウスのリンパ球を同時に、正常マウスまたはノックアウトマウスに移入してパイエル板へのホーミング能の差異を検討する実験が進行中である。 (4)可溶性BILLカドヘリン蛋白質の作製:Drosophila細胞の発現系を用いた方法で、可溶性のBILLカドヘリンを作製中である。(5)BILLカドヘリンはプロB細胞にも一過性に発現してプレB細胞レセプターと代替軽鎖を競合するが、この時期の機能についても検討した。
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Research Products
(1 results)