2003 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期における砒素曝露が行動および学習に及ぼす影響
Project/Area Number |
14570295
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
伊藤 俊弘 旭川医科大学, 医学部, 講師 (20271760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
中木 良彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90322908)
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
山内 博 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (90081661)
渡辺 知保 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70220902)
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Keywords | 無機砒素 / 次世代影響 / 行動毒性 / 免疫影響 |
Research Abstract |
飲水による慢性無機砒素中毒の発生地域における次世代への影響が懸念されることから、飲料水を介した慢性砒素曝露によって出生した仔の成長に対する行動毒性について実験的検討を試みた。 前年度においてC57BL/6J系マウスを用いて長期無機砒素曝露により出生した仔の発達および成長後(8-9週齢)の行動観察をおこない、行動発達指標や成長後の行動観察において顕著な影響は認められなかった。今年度は、これらの実験により得られた試料より酸化的ストレスの解析および遺伝子への影響を確かめるために8-Hydrooxy-deoxyguanosine(8-OHdG)の解析およびSODやカタラーゼなどの酵素の活性および遺伝子発現について検討を行うとともに脳組織中神経伝達物質の代謝についても検討を行っている。さらに、行動解析については、マウスにおいて系統差が存在する可能性についても検討を試みた。実験動物にはC57 BLとC3Hおよびこれらを掛け合わせたB6C3F1を用いて50ppmの無機砒素(5価)を投与した母獣より出生した仔の行動発達について検討を行った。新生児の脳組織中砒素濃度は100ppm投与した群では対照群に比べて10倍以上存在する結果が認められた。仔の酸価ストレスによる遺伝子損傷および抗酸化酵素の活性および発現については、8-OHdGでは砒素曝露群で高い値が認められた。その他の酵素については現在検討を行っており結果をまとめているところである。行動影響に対する系統による違いについては、いずれの群においても砒素による明らかな行動および学習への影響は認められなかった。 これらの結果からマウスにおいては出生前からの無機砒素曝露が発達や行動に及ぼす明らかな影響は認められなかったが、オープンフィールドでは有意差を認める項目もあり、情動面に対する影響はさらに検討する必要があると考えられた。
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