Research Abstract |
1.健常人ボランティア343名(性別:男性152名,女性191名,年齢:12歳以下29名,13〜20歳28名,21〜25歳74名,26〜40歳62名,41〜50歳77名,51-64歳51名,65歳以上21名,職業:医療従事者125名,大学生等69名,その他の職業78名,主婦26名,児童生徒36名,未就学9名)から,523株のブドウ球菌を分離,同定した.内訳はS.aureus 100株,S.epidermidis 321株,その他のブドウ球菌102株であった. 2.ディスク拡散法によりメチシリン耐性菌をスクリーニングしたところ,MRSA 10株,164株が検出されたS.aureusの耐性率は10.0%,CNSの耐性率は38.8%で,S.epidermidisとS.sapro-phyticusで耐性菌の頻度が高かった. 3.S.aureusのコアグラーゼ型は,VII>III>II>V型の順に多く検出されたが,MRSAではI,III型に集中していた.エンテロトキシンを産生するものではA, B, C型が多く見られたが,MRSAではC型が多かった.またTSST-1はMSSAでは10%が産生株であったが,MRSAでは40%が産生した. 4.メチシリン耐性菌174株のDNAを抽出し,PBP2'をコードする遺伝子mecA,およびその調節遺伝子mecR1,mecIの検出を行ったところ,mecIの検出率はMRSA 100 %,MRC-NS 96.3%であった.一方,mecR1はmecA隣接領域はMRSA, MRC-NSともに約90%で検出されたが,mecI側はMRSA 80%,MRC-NS 12.8%の検出率であり,mecIはMRSAの30%,MRC-NSの5.5%にしか検出されなかったことから,PBP2'産生調節機構は大きく変異していると考えられた. 4.現在までに得られたメチシリン耐性ブドウ球菌347株(MRSA 17株,MRC-NS 330株)についてオキサシリンのMICを測定したところ,MRSAは64〜512μg/mL, MRC-NSは2-512μg/mLの範囲に分布しており,MRC-NSでは2μg/mLと128μg/mLの2カ所にピークが見られた.
|