2002 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者での精神症状因子と日常生活動作能力障害発生の関連を明らかにする縦断研究
Project/Area Number |
14570337
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
安田 誠史 高知医科大学, 医学部, 助教授 (30240899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 充彦 高知医科大学, 医学部, 助手 (80346709)
杉原 由紀 高知医科大学, 医学部, 助手 (90304675)
大原 啓志 高知医科大学, 医学部, 教授 (00033209)
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Keywords | 高齢者 / 精神的健康状態 / 日常生活動作能力 |
Research Abstract |
本縦断研究の目的の一つは、地域在宅高齢者を対象に痴呆以外の精神症状を複数回測定し、症状の訴えが慢性的な場合と一時的な場合とで、日常生活動作能力(Activities of Daily Living、以下ADL)障害発生との関連が異なるか検討することである。本年度は、初回の精神症状測定を実施できている地域(高知県大月町)の65-84歳在宅高齢者を対象に、ベースライン時点での、精神症状因子とADL障害有無との関連を検討した。精神症状因子として、General Health Questionnaire30項目版への回答に因子分析を行って得られた、うつdepression、無感動apathy、不安anxietyの3つの因子をとりあげた。ADL障害については、質問紙調査で、食事、更衣、整容、排泄、入浴、歩行の6つの生活動作に一つでも手助けが必要だと回答した場合を障害ありとした。研究参加に同意が得られ、ADL障害の有無を明らかにできた1,377名を解析対象とした。多重ロジスティック回帰モデルをあてはめ、性、年齢を調整して、各精神症状因子の因子由来得点(各因子に高い因子負荷量を持つ項目群への回答の合計点で、高得点ほどその因子の訴えが強い)が上位17%の群と残り83%の群との間で、ADL障害危険を比較した。うつ、無感動、不安を別々に投入したモデルから得られたADL障害ありの調整オッズ比は、うつでは5.6(95%信頼区間3.4-9.1)、無感動では9.1(5.5-15.2)、不安では4.0(2.4-6.6)で、3因子ともADL障害に関連していた。次年度以後、研究参加に同意が得られている対象者の精神症状因子とADL障害の有無を再度測定し、ベースラインの精神症状因子と追跡調査時点のADL障害発生の関連、また、ベースラインと追跡調査時点の両方で精神症状因子を訴える慢性有訴とADL障害発生の関連を検討する。
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