2004 Fiscal Year Annual Research Report
在宅高齢者での精神症状因子と日常生活動作能力障害発生の関連を明らかにする縦断研究
Project/Area Number |
14570337
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安田 誠史 高知大学, 医学部, 助教授 (30240899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 啓志 高知大学, 医学部, 教授 (00033209)
杉原 由紀 高知大学, 医学部, 助手 (90304675)
太田 充彦 高知大学, 医学部, 助手 (80346709)
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Keywords | 高齢者 / 精神的健康状態 / 日常生活動作能力 / 循環器疾患危険因子 |
Research Abstract |
高齢者の精神症状因子と日常生活動作能力(Activities of Daily Living、ADL)障害発生どの関連が、循環器疾患危険因子によって交絡されているかを検討した。解析対象者は、高知県大月町での65歳以上在宅高齢者を対象とした縦断研究参加者のうち、追跡開始時点で行われたADLの状況を尋ねる質問紙調査結果がADL自立を示しており、精神的健康状態を尋ねるGeneral Health Questionnaire(GHQ)30項目版に回答し、かつ、老人保健法基本健康診査を受診した者のうち、追跡時点でのADLの状況を尋ねる質問紙調査に回答した362名であった。GHQ30項目版から得られた、うつ、無感動、不安の3つの因子のうち、追跡時点のADL障害に関連していた無感動因子について、健康診査項目である収縮期血圧、拡張期血圧、血清総コレステロール、血清総タンパク、血清ヘモグロビン、Body Mass Indexそれぞれを、性、年齢と一緒に、多重ロジスティック回帰モデルの調整変数として投入した時に、調整オッズ比(無感動因子由来得点が上位17%の群の、残り83%の群に対するADL障害の調整オッズ比)が、性、年齢だけを調整した時の値2.5(95%信頼区間1.0-6.7)とはどれだけ異なるかを検討した。各健康診査所見を調整した時のオッズ比は、拡張期血圧調整時の2.4(95%信頼区間0.9-6.5>と、Body Mass Index調整時の2.6(95%信頼区間1.0-7.0)の間に分布した。従って、無感動因子とADL障害の関連は、循環器疾患危険因子によっては交絡されておらず、この精神症状因子が、ADL障害の危険因子として独自の意義を持つことが明らかになった。なお、本研究の解析には、個人同定項目が削除されたデータファイルを用い、個人情報保護には細心の注意を払った。
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