2002 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・サポートの労働ストレス緩和および増悪効果の両面性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14570339
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 明人 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50291521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
信友 浩一 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90037424)
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Keywords | ソーシャル・サポート / ストレス / 緩和効果 / 増悪効果 |
Research Abstract |
本研究では、ソーシャル・サポートの労働ストレス緩和効果の評価に関し、従来にない新しい方法論に基づき、ソーシャル・サポートの緩和効果と増悪効果の両方の可能性を評価することを目的としている。具体的には、方法論としては信号検出分析法(Signal Detection Analysis)を用いて、あらゆるストレッサーとソーシャル・サポート要因の組み合わせを検討し、以下の点を検討することを目的としている。 (1)ソーシャル・サポート要因とストレッサーのミスマッチはストレス緩和効果を生じない。 (2)(1)の場合のミスマッチに関連する要因(例、婚姻状況、性格特性、職制)を明らかにする。 (3)ある種のソーシャル・サポートはストレスの影響を、緩和とは逆に、増悪させる。 (4)(3)の場合の増悪効果に関連する要因(例、婚姻状況、性格特性、職制)を明らかにする。 (5)同一のソーシャル・サポートがストレッサーや他の要因の組み合わせ次第で緩和と増悪効果の両面性を有する可能性を検討する。 平成14年度は関連文献のレビューを行い、主に、労働ストレス、ストレス反応、ソーシャル・サポートによるストレスの緩和もしくは増悪効果に関する知見を集約した。その結果を基に、関連する可能性のある項目を網羅した質問票を作成し、約100名程度を対象にパイロット・スタディを行なった。更に、質問票を確定した後、調査実施手順に従い、大阪府下のホワイト・カラー従業員を対象に、調査を実施した。現在、調査票を回収し、コンピュータに入力中である。この作業が終了し次第、このデータを基に、SDAを用いて仮説の検証を実施する予定である。 また、平成14年度は、ミシガン大学の社会学研究所で実施されたデータを基に、ストレス反応の指標として、SDS、GHQといった精神的健康度に限定せず、間接的な指標(アルコール消費量)に着目し、ソーシャル・サポートによるストレスの緩和もしくは増悪効果を検討した。その結果、ソーシャル・サポートの種類とストレッサーの組み合わせによって、緩和と増悪効果の両面性を有する可能性が明らかになった。
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Research Products
(1 results)