2003 Fiscal Year Annual Research Report
地域在住高齢者の骨粗鬆症と転倒予防のための指導プログラムの開発
Project/Area Number |
14570345
|
Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
藤縄 理 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教授 (00315722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 直人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10251810)
坂田 悍教 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (80178558)
|
Keywords | 骨密度 / 骨粗鬆症 / 転倒 / 活動水準 / 運動プログラム / 運動指導 / 体力 / 予防 |
Research Abstract |
平成11年度から12年度に埼玉県T群O町の65歳以上の高齢者1039名の骨密度と体力を測定し分析した。その結果、骨密度は下肢伸展筋力、握力、腹筋力、片脚立位保持時間、歩行持久力、障害物歩行能力と有意に相関があることを見出した。それをもとに、個々の体力特性に応じて重要な運動を選択して生活の中でできるだけ行うとともに、1日の生活を通じて1万歩を目標に歩くように指導するプログラムを開発した。指導した運動プログラムは活動水準を低下させる腰痛・下肢痛予防と全身の準備運動をかねたストレッチングを中心とした部分と、上下肢筋力、腹筋、背筋、バランス能力改善を目的とした部分とから構成されている。 埼玉県O町においては平成14年度15年度に町内34カ所の地区集会場等で、町民延べ514名に骨粗鬆症と転倒予防に関する講演と運動指導を行った。また、平成15年の8月に骨密度と体力の測定を行い、平成11年から12年の骨密度と体力結果とを比較した。その結果、測定に参加した女性119名では、骨密度同年齢比(p=0.000)、骨密度YAM比(p=0.000)、握力(p=0.000)が有意に増加し、下肢筋力と片脚立位保持時間では有意差は無かった。 埼玉県S町とI市で平成15年3月に85名(男10名、女75名)に対して、骨密度と体力測定を実施した。同年4月から9月までの6ヶ月間に月2回の頻度でS町とI市で各12回ずつ集中的に骨粗鬆症と転倒予防教室を実施した。この間、ステップメーターにより一日の歩数を測定し、記録表に歩数と運動時間などを毎日記録してもらった。9月の最終回に再度測定を行った。3月の測定から9月の測定まで継続的に教室に参加した50歳以上の女性53名の骨密度と体力測定の結果を比較した。その結果、骨密度YAM比(p=0.000)、骨密度同年比(p=0.002)は有意に低下していたが、膝伸展筋力(p=0.000)、障害物歩行(p=0.000)、腹筋力(p=0.000)は有意に改善していた。握力、歩行持久力には有意差は無かった。 O町においては平成13年以降各地区で骨粗鬆症と転倒予防の保健指導を行っており、その一環として本プログラムを指導してきた。そのため、予防に対する意識が高い町民が測定に参加し、骨密度の結果が良好であったと考えられる。S町とI市での6ヶ月間の集中的な介入では50歳以上の女性の骨密度減少は防止できなかったが、骨粗鬆症と転倒予防に重要な体力の一部は改善した。今回開発した指導プログラムは転倒防止のための体力向上に効果的であることが分かった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 藤縄 理, 坂田悍教, 遠藤直人: "地域在住高齢者の体力および骨密度とQOL"Osteoporosis Japan. 10・2. 295-299 (2002)
-
[Publications] 藤縄 理, 坂田悍教, 他: "地域在住高齢者の加齢に関する疫学的研究-地域在住高齢者の骨量"日本公衆衛生雑誌. 49・10. 256 (2002)
-
[Publications] O.Fujinawa, T.Sakada, N.Endo: "Relationship among Japanese osteoporosis QOL scores, bone mineral density and physical fitness level of the aged in Japanese suburban community"Bone. 32・5. S169 (2003)
-
[Publications] 藤縄 理, 坂田悍教, 他: "地域在住高齢者の加齢に関する疫学的研究-骨量と身体特性および体力特性との関連"日本公衆衛生雑誌. 50・10. 480 (2003)
-
[Publications] 土居通哉, 坂田悍教, 藤縄 理, 他: "地域在住高齢者の加齢に関する疫学的研究-片脚起立時間とADLとの関連"日本公衆衛生雑誌. 50・10. 480 (2003)
-
[Publications] 坂田悍教, 土居通哉, 藤縄 理, 他: "地域在住高齢者の加齢に関する疫学的研究-歩行能力に関する縦断的分析"日本公衆衛生雑誌. 50・10. 481 (2003)