2003 Fiscal Year Annual Research Report
一分間タイムスタディによる介護モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
14570350
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health Sciences |
Principal Investigator |
住居 広士 広島県立保健福祉大学, 保健福祉学部・理学療法学科, 教授 (30249528)
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Keywords | タイムスタディ / 介護モデル / 要介護認定 |
Research Abstract |
1.はじめに 改訂版一次判定で行われたタイムスタディはその調査方法も、介護内容の分類に使用されたケアコードも前回とは違っている。実はこのタイムスタディ調査方法の変更が改訂版要介護認定ソフトにおける一次判定をさらに「寝たきり有利、痴呆不利」を強くする結果となっている。そこで、タイムスタディが具体的にどのように変更されたのか、またその変更がどのように介護時間に影響するのかを考察する。 2.1分間タイムスタディの特徴-旧版タイムスタディ検証調査より- 旧版一次判定ソフトの基軸となった1分間タイムスタディ調査は、一人の介護職員に一人の調査員が付いて一分毎にその介護状況を観察記録する他計式調査で行われた。他計式調査であることからその特徴として、他計式調査であるため、客観的に捉えやすい直接身体介護を主に記録する結果であった。また、介護職員についての調査であるため、介護する側の業務調査という意味あいが強かった。介護時間のみを重視し時間で捉えにくく、客観的にとらえられない痴呆介護時間の測定が困難であった。ケアコードにおいても痴呆ケアコードが問題行動のみを捉える内容であったため、問題行動として出現しない場合の痴呆対応介護がまったく痴呆介護として測定されなかった。このような理由から、1分間タイムスタディでは直接身体介護時間を中心に測定し、痴呆介護時間の測定は困難であった。この特徴はそのまま旧版一次判定ソフトに反映される形となっていた。 3.1分間タイムスタディの検証のまとめ タイムスタディデータを基軸とする介護時間は、生活全般に関わる介護の一部を捉えているにすぎないという認識が重要であり、タイムスタディが捉える介護時間の意味を知る必要がある。「時間」は実際に介護に関わった客観的な時間のみを捉え、「一部介助」や「全介助」の違いによる介護レベルや介護の困難さ、また、客観的に捉えにくい精神的な介護は測定できない。生活全般を捉えるための介護評価には、要介護認定のものさしとなっている要介護認定等基準時間のほかに別の指標が必要である。客観的に捉えられる介護時間とは別に、痴呆度や自立度を捉える指標、問題行動に関する個別的な関わりや特別な医療に関わるケアなどを評価する「ものさし」が必要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 日下部みどり, 住居広士他: "改訂版一次判定ソフトにおける介護時間の検討"介護福祉研究. 11(1). 64-67 (2003)
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[Publications] 曳木久美, 住居広士他: "一分間タイムスタディが捉える痴呆介護評価とは"介護福祉研究. 11(1). 68-70 (2003)
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[Publications] 武田留美子, 住居広士他: "ユニットケアにおけるケア時間の検証"介護福祉研究. 11(1). 71-74 (2003)
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[Publications] 住居 広士: "介護保険の検証-リハビリテーション介護から-"メディカルリハビリテーション. 34. 145-154 (2003)
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[Publications] 住居 広士: "要介護認定とは何か"一橋出版. 151 (2004)