2002 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の睡眠・覚醒リズムの発達とその発達過程に及ぼす要因に関する継続研究
Project/Area Number |
14570366
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
松本 一弥 東亜大学, 工学部, 教授 (80086602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新小田 春美 九州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70187558)
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Keywords | 母親- / 睡眠・覚醒リズム / サーカディアンリズム / 初・経産婦 / 社会的同調因子 |
Research Abstract |
本研究は、出産から最初の14週齢までにおける乳児の睡眠・覚醒リズムの発達と、母親の睡眠行動が乳児の睡眠リズムに及ぼす影響を検討した。妊娠末期にインフォムドコンセントをえた12名の母親(経産婦6名、初産婦6名)には、母親自身と赤ちゃんの睡眠日誌を出生時から14週間以上記録することをお願いした。全て母親は正常な妊娠と出産であった。 乳児の1日当たりの昼間期(8:00〜20:00)における平均睡眠時間は、出産1週目から14週目にかけて暫時短縮していた。高速フーリエ解析による24時間周期のPower spectroは、出産後第6週目頃から第14週目にかけて急激に増大し、9週齢以降に有意な増大をみた。correlogramパターンを分類するためにクラスター分析をおこなった結果、種々のオートラディアン・リズムが混在し、サーカディアン要素がみられないパターンA、比較的優勢なサーカディアン要素と12時間ないしは3一間の周期が混在するパターンB、極めて優勢なサーカディアン要素を示すパターンCの3つに識別された。出産から6週齢まではパターンAが優勢であるが、第8週(58.3%)から第9週(83.3%)にかけて多くの乳児はパターンBに移行し、さらに第10週以降になるとパターンCを示す乳児もみられた。夜間における母親と乳児の就寝・起床時刻は、出生後14週間を通し類似した変化を示していたが、初産婦の母子は経産婦の母子よりも就寝・起床時刻とも遅かった。 これらの結果から、乳児の睡眠・覚醒リズムの発達過程には大きな個人差がともなっているとはいえ、出生後6週齢以降から徐々に24時間周期の環境リズムに同期していくものと推測された。また、母親の睡眠習慣や哺育経験の有無、乳児以外の子供の存在有無など社会的同調因子が、乳児の睡眠リズムの発達に修飾影響を与えているものと推測された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kang MJ, Matsumoto K, Shinkoda H, Seo YJ: "Longitudinal study for sleep-wake behaviors of mothers from prepartum to postpartum using actigraph and sleep logs"Psychiatry and Clinical Neurosciences. 56. 251-252 (2002)
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[Publications] Park YM, Matsumoto K, Seo YJ, Kuag MJ, Nagashima H: "Effects of age and gender on sleep habits and sleep trouble for aged people"Biological Rhythm Research. 33・1. 39-51 (2002)
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[Publications] 新小田春美, 姜旻延, 松本一弥: "妊産褥婦の夜間覚醒と睡眠感・自覚症状に関する継続的研究"九州医学部短大紀要. 29. 47-54 (2002)
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[Publications] 長川トミエ, 松本一弥: "妊婦・褥婦の精神身体症状とPG濃度-POMS尺度について-"母性衛生. 53. 132-143 (2002)
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[Publications] Nagashima H.Matsumoto K, Seo YJ, Mohri M, Naraki N, Matsuoka S: "Sleep patterns during 30m nitrox satration dive and in a closed atmospheric environment"Psychiatry and Clinical Neurosciences Vol. -2002. 56. 257-258 (2002)
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[Publications] Nagashima H.Matsumoto K, Seo YJ, Mohri M, Naraki N, Matsuoka S: "Effects of sleep patterns during simulated nitrox saturation diving to 20-m and 30-m"Perceptual and Motor Skills. 94. 753-766 (2002)